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洋銀
「洋銀〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
洋銀の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「葱」より 著者:芥川竜之介
すでに田中君は、例のごとく鍔広《つばびろ》の黒い帽子を目深《まぶか》くかぶって、
洋銀の握りのついた細い杖をかいこみながら、縞の荒い半オオヴァの襟を立てて、赤い電....
「モルグ街の殺人事件」より 著者:佐々木直次郎
はナポレオン金貨四枚と、黄玉《トパーズ》の耳輪一個と、銀の大きなスプーン三個と、
洋銀《メタル・ダルジェ》の小さなスプーン三個と、金貨約四千フラン入りの袋二個とが....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
行って、そのかわりに輸入せらるるものは多少の米弗銀貨はあるとしても、多くは悪質な
洋銀であると言われる。 「半蔵さん、君はあの小判買いの声をどう思います。」と香蔵....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
がどんどん海の外へ流れ出して行き、そのかわりとして輸入せらるるものの多くは悪質な
洋銀であった。古二朱金、保字小判なぞの当時に残存した良質の古い金貨はあの時に地を....
「風流仏」より 著者:幸田露伴
変え破褞袍着て藁草履はき腰に利鎌さしたるを農夫は拝み、阿波縮の浴衣、綿八反の帯、
洋銀の簪位の御姿を見しは小商人にて、風寒き北海道にては、鰊の鱗怪しく光るどんざ布....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
とになると、何といっても異人は日本人より気前がいいから、たった一晩にしてからが、
洋銀三枚がとこは出す、月極めということになれば十両はお安いところ、玉によっては二....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
がうんとある。毛唐の奴めも、女にかけては全く甘いもんで、たった一晩にしてからが、
洋銀三枚がとこは出す。月ぎめということになるてえと、十両は安いところ、玉によって....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
がうんとある。毛唐の奴めも、女にかけては全く甘いもんで、たった一晩にしてからが、
洋銀三枚がとこは出す。月ぎめということになるてえと、十両は安いところ、玉によって....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
、それを落さないように朝夕深甚の苦心を払っていた。バルベニ氏はずぼんのポケットに
洋銀の靴箆を入れているのが動くたびにはっきり見えた。夫人は赤皮の飛行帽をかぶって....
「旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
ではないが、鉄物――古鉄もあつかう問屋がめざましく、揚々《ようよう》としていた。
洋銀《ドル》相場での儲《もう》けは、商業とともに投機的で、鉄物屋の方が肌合が荒か....
「四月馬鹿」より 著者:織田作之助
の手つきを見ていると、ふと孤独が感じられた。 一つ風変りな時計があった。側は西
洋銀らしく大したものではなかったが、文字盤が青色で白字を浮かしてあり、鹿鳴館時代....
「深川女房」より 著者:小栗風葉
がら、手前にかまけてつい御無沙汰をしているお詫びなど述べ終るのを待って、媼さんは
洋銀の細口の煙管をポンと払き、煙をフッと通して、気忙しそうに膝を進める。 「実は....
「知々夫紀行」より 著者:幸田露伴
にやと思いつつ音ない驚かせば、三十路あまりの女の髪は銀杏返しというに結び、指には
洋銀の戒指して、手頸には風邪ひかぬ厭勝というなる黒き草綿糸の環かけたるが立出でた....
「江戸芸術論」より 著者:永井荷風
》きゐる芸者と打語《うちかた》れり。これ岩亀楼《がんきろう》の娼女《しょうじょ》
洋銀三枚の揚代《あげだい》(この事文久三年板『珍事五ヶ国横浜ばなし』に出づ)にて....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
飾を凝らした鏡附きの古風な化粧台があって、それに相当の空間を置いて、相対した壁に
洋銀のダブルベッドが備えつけられ、それには前面と裾とに卵色の薄いカーテンが掛って....