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津浪
「津浪〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
津浪の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「泣虫小僧」より 著者:林芙美子
寸の間静かになったが、誰かが隅の方で、 「凄げえなア」 と感嘆の声をもらすと、
津浪のように皆がどっと笑い出した。とりとめようもない程、笑い声が続いた。啓吉は、....
「夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
よ。だから一度でも忘れると、たちどころに、大雨、大雷、大風とともに、夜叉ヶ池から
津浪が起って、村も里も水の底に葬って、竜神は想うままに天地を馳すると……こう、こ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
みんなおれが手下になったよ、おれが七ツの時だ。 深川の屋敷も、度々《たびたび》の
津浪《つなみ》ゆえ、本所へ屋敷替えを親父がして、普請の出来るまで、駿河台の太田姫....
「津浪と人間」より 著者:寺田寅彦
昭和八年三月三日の早朝に、東北日本の太平洋岸に
津浪が襲来して、沿岸の小都市村落を片端から薙ぎ倒し洗い流し、そうして多数の人命と....
「颱風雑俎」より 著者:寺田寅彦
かどうか疑わしいと思われた。 地震による山崩れは勿論、颱風の豪雨で誘発される山
津浪についても慎重に地を相する必要がある。海嘯については猶更である。大阪では安政....
「文学以前」より 著者:豊島与志雄
二年目の鯉が放たれてる水田は実に賑かで畦道を伝って歩けば、魚群の泳ぎ逃げる水音が
津浪のように聞える。 水田の中に群れてるこの鯉が、大雨の為などで、水口の梁が破....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
れてる静寂がもだえていた。クリストフは立ち止まってその音を聞いた……。 突然、
津浪の寄せてくるような音が遠くに聞こえた。先駆者たる一陣の風が森の奥に起こってい....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
物蔭にあるオルゴールの発する音だという。 さてカケコミの唄と音楽に合せてドッと
津浪のように又山々のゆれるように無我境の踊りが起るのであるが、これは許されて信徒....
「魔像」より 著者:林不忘
の右近と言いくるめて危いところを助けてくれた大兵の男の声……あの渋い声、あの時の
津浪《つなみ》のような笑い声――そうだ。いつかも富士見の馬場へ現れて大岡殿が試乗....
「巷説享保図絵」より 著者:林不忘
して、皆、和泉屋の側の家なみの下をめざしてわれ勝ちに游《およ》いだ。
それは、
津浪がくずれかかるような、力強いひしめきであった。あとの路上は、瓦を脳天にくらっ....
「回想録」より 著者:高村光太郎
あの頃は、そういう神秘的なようなことが頻りと行われた。盤梯山が破裂したり、三陸の
津浪が起ったり、地震があったり、天変地異が頻々とあって、それにも少年の自分は脅か....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
った縞の羽織は大いに悄気る。 「とっさん、何だろう。」 「これかね、寛政|子年の
津浪に死骸の固っていた処だ。」 正面に、 葛飾郡永代築地 と鐫りつけ、おもて....
「四十年前」より 著者:内田魯庵
如く食後の腹ごなしに翫ばれ、烏帽子直垂の如く虫干に昔しを偲ぶ種子となる外はない。
津浪の如くに押寄せる外来思想は如何なる高い防波堤をも越して日一日も休みなく古い日....
「えぞおばけ列伝」より 著者:作者不詳
で穀物がとれぬという. また,その音がはるか沖の方に聞えることがある.それを「
津浪の魔の物搗き音」と称して,そういう音が聞えればその年は
津浪に襲われるといい,....
「あの世の入口」より 著者:知里真志保
鵡川駅から分れて間もなくウコ※イという所がある。昔は山続きであったが、あるとき大
津浪で山が切れてしまったので、そのときここにあった大きな部落が流されて全滅してし....