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流る
「流る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
流るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「大川の水」より 著者:芥川竜之介
月に二、三度は、あの大川の水をながめにゆくことを忘れなかった。動くともなく動き、
流るるともなく流れる大川の水の色は、静寂な書斎の空気が休みなく与える刺戟《しげき....
「星座」より 著者:有島武郎
ものなきにしもあらじ。しかも古人の蹟を一顧すれば、たちまち慚汗《ざんかん》の背に
流るるを覚ゆ。貧窮《ひんきゅう》、病弱《びょうじゃく》、菲才《ひさい》、双肩《そ....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
三十九 小芳は我知らず、(ああ、どうしよう。)と云う瞳が、主税の方へ
流るるのを、無理に堪えて、酒井を瞻った顔が震えて、 「蔦吉さんはもう落籍ましたそ....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
しかも、もりで撃った生々しい裂傷の、肉のはぜて、真向、腮、鰭の下から、たらたらと
流るる鮮血が、雨路に滴って、草に赤い。 私は話の中のこの魚を写出すのに、出来る....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
は格子にあるものを、桑名の妓達は宵寝と見える、寂しい新地へ差掛った。 輻の下に
流るる道は、細き水銀の川のごとく、柱の黒い家の状、あたかも獺が祭礼をして、白張の....
「海の使者」より 著者:泉鏡花
と動くものあり。何か影のように浮いて行く。……はじめは蘆の葉に縋った蟹が映って、
流るる水に漾うのであろう、と見たが、あらず、然も心あるもののごとく、橋に沿うて行....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
時に、うっかり挟んだものと思われる。が、それを心着いた時は――と云って垂々と額に
流るる汗を拭って――ただ一瞬間に千万無量、万劫の煩悩を起した。いかに思い、いかに....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
化ける。安|旅宿の辻の角から、黒鴨仕立の車夫がちょろりと鯰のような天窓を出すと、
流るるごとく俥が寄った。お嬢さんの白い手が玉のようにのびて、軒はずれに衝と招いた....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
に、髻から搦まっていようも知れぬ。あれ、そういえば、軒を渡る浜風が、さらさら水の
流るる響。 恍惚と気が遠い天井へ、ずしりという沈んだ物音。 船がそこったか、....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
に無理なところはない……。』 そう話合っている中に、いつしか私達は飛沫を立てて
流るる、二|間ばかりの渓流のほとりに立っていました。右も左も削ったような高い崖、....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
よ。」 「もう。」 「生白い、いい肴だ。釜で煮べい。」 「もう。」 館の電飾が
流るるように、町並の飾竹が、桜のつくり枝とともに颯と鳴った。更けて山颪がしたので....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
に倚りて眺むれば、両岸の家々の火、水に映じて涼しさを加え、いずこともなく聞く絃声
流るるに似て清し。月あれども地上の光天をかすめて無きが如く、来往の船は自ら点す燈....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
験を見せた。その際、マヨーの作った歌がある。 ファラデーの磁石を廻りて、 確かに
流るるボルタの電気。 さて針金に取り出すその術は、 ファラデーが手本にしたのは愛....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
かに潔い。人の知った名水で、並木の清水と言うのであるが、これは路傍に自から湧いて
流るるのでなく、人が囲った持主があって、清水茶屋と言う茶店が一軒、田畝の土手上に....
「県歌 信濃の国」より 著者:浅井洌
一 信濃の国は十州に 境連ぬる国にして 聳ゆる山はいや高く
流るる川はいや遠し 松本伊那佐久善光寺 四つの平は肥沃の地 海こそな....