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流石
「流石〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
流石の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「袈裟と盛遠」より 著者:芥川竜之介
あれは風の音であろうか――あの日以来の苦しい思が、今夜でやっと尽きるかと思えば、
流石《さすが》に気の緩むような心もちもする。明日の日は、必ず、首のない私の死骸の....
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
ど厳粛に近い調子で、のしかかるように云い切った。日頃から物に騒がない本間さんが、
流石《さすが》に愕然としたのはこの時である。が、理性は一度|脅《おびやか》されて....
「恐しき通夜」より 著者:海野十三
を利かず、片腕もあげなかった奇怪の人物、大蘆原軍医だった。自分の名をよばれると、
流石の星宮理学士も、ギョッとして、その場に立ち竦んだ。 「星宮君。私の第三話が、....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
「唯今から午後六時の子供さんのお時間でございますが……」 と云ったは云ったが、
流石に老練なアナウンサーも、これから放送しようとする事項の重大性を考えて、そこで....
「間諜座事件」より 著者:海野十三
でいるような気持だった。 明るい舞台では、コメディ「砂丘の家」が始まっていた。
流石にカブリツキは遠慮して、中央の席に坐る。 舞台は花のように賑かだった。 ....
「恐怖の口笛」より 著者:海野十三
「なアんだ、服と靴とだけじゃないか」 と捜査課長は叫んだ。 「ウーム」 と
流石の覆面探偵も呻った。痣蟹に一杯喰わされたという形であった。 そのときであっ....
「空襲下の日本」より 著者:海野十三
という憎むべき人物を、ずっと監視していたのだ。僕から云うのも変だが、僕の努力で、
流石の先生たち、手も足も出なかったのだ。治安のため、そしてまたスパイの情報を得る....
「火葬国風景」より 著者:海野十三
もなく姿を晦ましてしまった。そのことは八十助と露子との耳にも入らずにいなかった。
流石に気になったので、探偵社に頼んで出来るだけの探索を試みたりしたが、鼠谷の消息....
「瘠我慢の説」より 著者:石河幹明
療に託してこれに親しみ、浅田を介して小栗との間に、交通を開き事を謀りたる者にて、
流石は外交家の手腕を見るべし。かくて事の漸く進むや外国奉行等は近海巡視など称し幕....
「画筆に生きる五十年」より 著者:上村松園
ある時は吉野の山を塔の峰の方まで、三日間、描いては歩く旅行をしました。家に帰ると
流石に足に実が入って、大根のように太くなり、立つ時は掛声でもかけないと立てないほ....
「中支遊記」より 著者:上村松園
年まで十日以上にわたる旅行はしたことのない私にとって、よく思いたったものと思う。
流石にまだ船に乗っているような疲れが身体の底に残っている。頭を掠める旅の印象を追....
「土田さんの芸術」より 著者:上村松園
禅祭を催し、その所蔵品を持ち寄って一堂に陳列した事があった。私も見物に行ったが、
流石に仙禅斎の代表作などたんと集っていて、なかなか美事な催しだった。いい図柄や色....
「押しかけ女房」より 著者:伊藤永之介
のは当然ではあつたが、しかし途中はいいとして、家に着いても家族の顔がないのには、
流石にいい気持ではなかつた。 小学校の同級生である喜一が多分自分より一足先に戦....
「寺町」より 著者:岩本素白
れは万事に質素な其の時分でも、ちと破格過ぎることであった。その折の写真を見ると、
流石に当年文壇の第一人者だけあって、銘旗を立てた葬列は長々と続いて居るが、柩はそ....
「魯迅さん」より 著者:内山完造
ことがないのでプロレタリヤ文学は書けない」 というておられたことがあったですが、
流石に魯迅さんだと思いましたネ。 それからどんなことをおたずねしても、はっきり....