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流露
「流露〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
流露の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「フォスフォレッスセンス」より 著者:太宰治
《あ》る友人の、最も美しい言葉を聞いた。また、それに応ずる私の言葉も、最も自然の
流露の感じのものであった。 また私は、眠りの中の夢に於いて、こがれる女人から、....
「東海道五十三次」より 著者:岡本かの子
が」 酒は好きだがそう強くはない性質らしく、男は赭《あか》い顔に何となく感情を
流露《りゅうろ》さす声になった。 「この東海道というものは山や川や海がうまく配置....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
込まれてしまう。そこには何等の努力も義務も附帯してはいない。あの純一無雑な生命の
流露を見守っていると私は涙がにじみ出るほど羨ましい。私の生活がああいう態度によっ....
「茶の本」より 著者:岡倉覚三
凡な作品はいかにも冷ややかなものではないか。前者においては、作者の心のあたたかい
流露を感じ、後者においては、ただ形式的の会釈を感ずるのみである。現代人は、技術に....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
行った。 快川長老が五度笑った。 「いや今夜は面白かった。今夜ほど殿の天真が、
流露したことはないからな。まるで子供だ、駄々っ児だ。それがいいのだ。結構結構。…....
「千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
は、古くからある文章の約束がまだ重く残って、言葉の感情とか、その陰影とかの自然な
流露を妨げていた。この状態はどうしても行き詰る。そこでだんだん変化と自由とを求め....
「梅津只円翁伝」より 著者:杉山萠円
の表裏が徹底的に矛盾しているところに、世を棄てて世を捨て得ない翁の真情が一貫して
流露していた事が今にして思い当られて、自ら頭が下るのである。聖人でもなければ俗人....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
けた灯りと北満の夜霧がひろがり、この貧しい都市にも、まずしいなりに|感じと動きと
流露とを追う散歩者の行進曲が奏でられているのを知る。が、スピイドのない享楽の狩猟....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
調べ高くして潤いがあり、豊かにして弛まざる、万物を同化|包摂したもう親愛の御心の
流露であって、「いねにけらしも」の一句はまさに古今無上の結句だとおもうのである。....
「余裕のことなど」より 著者:伊丹万作
位だの格式だのとけちけちした不純物にいささかもわずらわされることなく平気で天真を
流露させることのできる源太。このような源太に対する讃嘆の情を私はどう説明していい....
「光は影を」より 著者:岸田国士
でなければ、自分の今の気持ちは言いあらわせない。それは一切の打算をはなれた感情の
流露だという意味で、それはそれなりに真実にちかい言葉であつた。 小萩は、彼の胸....
「あるニュウ・フェイスへの手紙」より 著者:岸田国士
上でも、演技の上でも、一番欠けているのは、或は、閑却されているのは、なによりも「
流露感」だと思います。上滑りをしてもいいというのではない。いい言葉がなかなか見つ....
「無表情の表情」より 著者:上村松園
み、ほほえみ、喜び、憂い、その場その場により、その時その時に従って、無限の表情が
流露して尽くるところがありません。 ◇ 能楽からくる感銘はいろいろで....
「常に自然は語る」より 著者:小川未明
私は、民謡、伝説の訴うる力の強きを感ずる。意識的に作られたるにあらずして、自然の
流露だからだ。たゞちに生活の喜びであり、また、反抗、諷刺である。いかなる有名の詩....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
が流れないで鬱屈する」とか言います。これを他の言葉に言い換えれば「生命が停滞して
流露しない」ということになります。すなわち、心の流れによって人間の心理が一歩一歩....