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浅い
「浅い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
浅いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
った家根の空へ無数の鴉《からす》をばら撒《ま》いている。――私はいつかうとうとと
浅い眠に沈みながら、それでもまだ腹の底には水のような春寒《はるさむ》が漂っている....
「報恩記」より 著者:芥川竜之介
を思いついた後、内裏《だいり》へ盗みにはいりました。宵闇《よいやみ》の夜《よ》の
浅い内ですから、御簾《みす》越しに火影《ほかげ》がちらついたり、松の中に花だけ仄....
「神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
那や印度も変ったのです。西洋も変らなければなりません。我々は木々の中にもいます。
浅い水の流れにもいます。薔薇《ばら》の花を渡る風にもいます。寺の壁に残る夕明《ゆ....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
りしている。その六人が六人とも、五十歳以上の老人ばかり揃っていたせいか、まだ春の
浅い座敷の中は、肌寒いばかりにもの静《しずか》である。時たま、しわぶきの声をさせ....
「大川の水」より 著者:芥川竜之介
すなず》も、跡かたなく埋められてしまったが、この二つの渡しだけは、同じような底の
浅い舟に、同じような老人の船頭をのせて、岸の柳の葉のように青い河の水を、今も変わ....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
部屋は想像していた通り、天井も柱も煤の色をした、見すぼらしい八畳でしたが、正面に
浅い六尺の床があって、婆娑羅大神《ばさらだいじん》と書いた軸の前へ、御鏡が一つ、....
「或る女」より 著者:有島武郎
る舞ったその間に、偶然に出あって偶然に別れた人の中の一人《ひとり》でもあろうか。
浅い心でもてあそんで行った心の中にこの男の心もあったであろうか。とにかく葉子には....
「或る女」より 著者:有島武郎
に思えた。こおろぎが隣の部屋のすみでかすれがすれに声を立てていた。わずかなしかも
浅い睡眠には過ぎなかったけれども葉子の頭は暁|前《まえ》の冷えを感じて冴《さ》え....
「溺れかけた兄妹」より 著者:有島武郎
押寄せて来るのでした。泳ぎの上手なMも少し気味悪そうに陸の方を向いていくらかでも
浅い所まで遁《に》げようとした位でした。私たちはいうまでもありません。腰から上を....
「星座」より 著者:有島武郎
ことが多かった。
けれども西山たちの足音が玄関の方に遠ざかろうとすると、清逸は
浅い物足らなさを覚えた。それは清逸には奇怪にさえ思われることだった。で、自分を強....
「性急な思想」より 著者:石川啄木
年間の新らしい経験から惹《ひ》き起されたところの反省は、あらゆる意味に於て、まだ
浅い。 もしも又、私が此処《ここ》に指摘したような性急な結論乃至告白を口にし、....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
から村に時鳴を啼き交すように。 今日こそは出家して基督に嫁ぐべき日だ。その朝の
浅い眠りを覚ました不思議な夢も、思い入った心には神の御告げに違いなかった。クララ....
「猫と色の嗜好」より 著者:石田孫太郎
明人にしても尚野蛮の域に居る所の子供は赤色を好み、段々と大きくなるに従って、色の
浅いものを好むようになる、而して純白色のものを以て最も高尚なものとするのは、我輩....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
列した。主婦の友五月号に其の筆記が載せられた。 日本でこの方面の研究は日がまだ
浅い、この研究に従事した福来友吉博士が無知の東京帝大理学部の排斥により同大学を追....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
その時は大変でしたよ。尤も僕の家などは床の上へ水は来なかったけれども。」 「では
浅い所もあったのですね?」 「緑町二丁目――かな。何でもあの辺は膝位まででしたが....