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浅黒い
「浅黒い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
浅黒いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「文章」より 著者:芥川竜之介
また云いつけるのはいつもこの藤田大佐である。大佐はやっと四十くらいであろう。色の
浅黒い、肉の落ちた、神経質らしい顔をしている。保吉は大佐よりも一足《ひとあし》あ....
「母」より 著者:芥川竜之介
そうに。」
女中も出窓の日の光に、前掛《まえかけ》だけくっきり照らさせながら、
浅黒い眼もとに微笑を見せた。
「御隣の野村《のむら》さん、――野村さんでしょう、....
「春」より 著者:芥川竜之介
も見せなかった。いや、その時の彼女のそぶりに少しでも変化があったとすれば、それは
浅黒い顔のどこかにほとんど目にも止らぬくらい、緊張《きんちょう》した色が動いただ....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
ろじろ私たちの方を窺《うかが》っていたのと、ぴったり視線が出会いました。私はその
浅黒い顔に何か不快な特色を見てとったので、咄嗟《とっさ》に眼を反《そ》らせながら....
「温泉だより」より 著者:芥川竜之介
《すしや》に鰻屋《うなぎや》を兼ねた「お」の字亭のお上《かみ》の話によれば、色の
浅黒い、髪の毛の縮《ちぢ》れた、小がらな女だったと言うことです。
わたしはこの....
「或恋愛小説」より 著者:芥川竜之介
ません。学生時代にはベエスボールの選手だった、その上道楽に小説くらいは見る、色の
浅黒い好男子なのです。新婚の二人は幸福に山の手の邸宅に暮している。一しょに音楽会....
「路上」より 著者:芥川竜之介
て、さっきから細かい活字の上に丹念《たんねん》な眼を曝《さら》していた。彼は色の
浅黒い、体格のがっしりした青年だった。が、彼が文科の学生だと云う事は、制服の襟に....
「三右衛門の罪」より 著者:芥川竜之介
《ごぜん》へ伺候《しこう》した。しかし悪びれた気色《けしき》などは見えない。色の
浅黒い、筋肉の引き緊《しま》った、多少|疳癖《かんぺき》のあるらしい顔には決心の....
「藪の中」より 著者:芥川竜之介
女でございますが、まだ一度も武弘のほかには、男を持った事はございません。顔は色の
浅黒い、左の眼尻《めじり》に黒子《ほくろ》のある、小さい瓜実顔《うりざねがお》で....
「或る女」より 著者:有島武郎
潔な血が細いしなやかな血管を滞りなく流れ回っているような、すべすべと健康らしい、
浅黒いつやの皮膚は何よりも葉子には愛らしかった。始終吹き出物でもしそうな、膿《う....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
丈高く痩せぎすな肌に粋である。しかも上品に衣紋正しく、黒八丈の襟を合わせて、色の
浅黒い、鼻筋の通った、目に恐ろしく威のある、品のある、眉の秀でた、ただその口許は....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
鞋を解いたばかりだ。泊めてもらうから、支度はしません。」と真面目に言う。 色は
浅黒いが容子の可い、その年増の女中が、これには妙な顔をして、 「へい、御飯は召あ....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
辺の露店の、ぼろ市で、着たのはくたびれた浴衣だが、白地の手拭を吉原かぶりで、色の
浅黒い、すっきり鼻の隆いのが、朱羅宇の長煙草で、片靨に煙草を吹かしながら田舎の媽....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
か、これで眉が見えたらたちまち五ツばかりは若やぎそうな目につく器量。垢抜して色の
浅黒いのが、絞の浴衣の、糊の落ちた、しっとりと露に湿ったのを懊悩げに纏って、衣紋....
「格さんと食慾」より 著者:芥川竜之介
ルムの存することも事実である。 宇野浩二は本名格二(或は次)郎である。あの色の
浅黒い顔は正に格二郎に違いない。殊に三味線を弾いている宇野は浩さん離れのした格さ....