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「浮かぶ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

浮かぶの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
ろう。しかし……どうにでもなれ。どうかしてこの大事な瀬戸を漕《こ》ぎぬけなければ浮かぶ瀬はない。葉子は大《だい》それた謀反人《むほんにん》の心で木村の care....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
ら見放されてしまっているのだ。こんな瞬間に限っていつでもきまったように私の念頭に浮かぶのは君のあの時の面影だった。自分を信じていいのか悪いのかを決しかねて、たく....
奈々子」より 著者:伊藤左千夫
いのであってみれば、自分もやはり世間一流の人間に相違ないのだ。自分はこう考えて、浮かぶことのできない、とうてい出ずることのできない、深い悲しみの淵《ふち》に沈ん....
出奔」より 著者:伊藤野枝
えない寂しさ遣瀬なさに悩むのであった。そうしては志保子の美しい澄んだ目にはっきり浮かぶ、優しい暖かい友情にしみじみ泣いた。 どうかして志保子の帰りの遅い時には....
西航日録」より 著者:井上円了
午後六時、英国ヨークシャー州バルレー村を辞し、アイルランドに向かう。途上、一句を浮かぶ。 プツデング次の代りはシチウなり 西洋料理の中に、ヨークシャー・プディ....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
たわけではなく、一片の新月がすきとおる空にある。) また、別に三十一文字一首を浮かぶ。 南極のま近くなりししるしにや、彼方よりくる風の涼しき 三日、晴れ。暁....
迷信解」より 著者:井上円了
ていろいろの想像が心に起こり、いわゆる「疑心暗鬼を生ずる」たぐいにて、妄想を目に浮かぶるようになり、樹木に鳥の止まるを見ても怪物のごとくに思い、獣類の走るを見て....
妖怪学」より 著者:井上円了
願い申します」といえば、好きなれば回転し、嫌いなれば依然たり。このときもまた手を浮かぶるなり。左右回りに代うるに御傾き何遍と望むも、あえて効なきにあらず、かえっ....
妖怪玄談」より 著者:井上円了
い申します」といえば、好きなれば回転し、嫌いなれば依然たり。このときもまた、手を浮かぶるなり。左右回りに代うるに、御傾き何べんと望むも、あえて効なきにあらず、か....
妖怪報告」より 著者:井上円了
夢は、かくのごとく疑似、差異、係属等よりして、最下等なる想像世界をいわゆる夢中に浮かぶるものなれば、夢によりて吉凶をきたすがごとき妄説は、あえて取るに足らずとい....
画筆に生きる五十年」より 著者:上村松園
そうではなく、しばらく静かにしておりますと、閉じた目の前に美しいさまざまな色彩が浮かぶ、昔見た美しいとじ糸のついた絵日傘が浮かぶ、いつか見た絵巻物が鮮やかに展開....
四条通附近」より 著者:上村松園
お客も鴛鴦や島田の綺麗な人が多く、小町紅というと、いつでも美しい情景がその店先に浮かぶ。 紅のつけ方にしても茶碗に刷いた玉虫色のを、小さな紅筆で溶いて、上唇は....
暗号の役割」より 著者:海野十三
烏啼は頑として彼特有の我を通す。 三時間、三時間半……三名人の顔に疲労の色が浮かぶ。 「まだかね」 碇が、たまりかねて声をかけた。 「兄貴、黙っていてくん....
浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
谷部大尉も、ふーむとうならないわけにゆかなかった。一たいどうしたというのだろう。浮かぶ飛行島をめぐる怪事件の幕は、こうして切って落された。 極東の風雲急なると....
恐竜島」より 著者:海野十三
はいず、海上はまっくらで、墓場《はかば》のように静かであった。ただ、ときどき波が浮かぶ扉にあたってばさりと音をたてることと、頭上には美しく無数の星がきらめいてい....