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浮かぶ瀬
「浮かぶ瀬〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
浮かぶ瀬の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
ろう。しかし……どうにでもなれ。どうかしてこの大事な瀬戸を漕《こ》ぎぬけなければ
浮かぶ瀬はない。葉子は大《だい》それた謀反人《むほんにん》の心で木村の care....
「出家とその弟子」より 著者:倉田百三
のおめでたい若者が昔からそのとおりに言いました。そして後悔するときは、もう自分の
浮かぶ瀬は無くなっていました。だから君子は初めよりその危うきに近づきません。知者....
「工場細胞」より 著者:小林多喜二
けど―― 二人は声を出して笑った。 ――何んしろ細大|洩さずだから、彼奴等も
浮かぶ瀬が無いだろう。 外は人通りがまばらになっていた。二人は用心して歩いた。....
「縮図」より 著者:徳田秋声
っていなかった。いくら色や愛嬌を売る稼業でも、頭脳と意地のないのは、何年たっても
浮かぶ瀬がなかった。 銀子は誰が何時に出て、誰がどこへ行っているかを、黒板を見....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
けでもしては、今までの苦心が水の泡。第一、日光御造営を目前にひかえて、柳生一藩、
浮かぶ瀬のないことになる……と小刀のさきで蓋の紙をせせくる老人の額には、いつのま....
「若き日の成吉思汗」より 著者:林不忘
、それも無理がないなあ。 男五 軍には負ける。奥方まで奪られるじゃあ、まったく、
浮かぶ瀬がないよ。 女二 (遠くを指さして)あれあれ! 成吉思汗《ジンギスカン》....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
。 「高所に上って矢を受ける。まるで殺されるのを待つようなものだ。身を棄ててこそ
浮かぶ瀬もあれ。一刀流の極意の歌だ。弓手の真ん中へ飛び下りてやろう」 四本目の....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
竹刀をとりあう稽古台《けいこだい》の朋輩《ほうばい》と変わりなかった。身を捨てて
浮かぶ瀬を求めようと、防禦の構えはあけっぱなしに、まるで薪でも割ろうとする人のよ....
「芸道地に堕つ」より 著者:坂口安吾
に欧米文化は日本に汎濫し日本文化は忽ち場末へ追いやられる。芸人にカタギがなくては
浮かぶ瀬がない。芸の魂は代用品では間に合わぬ。....
「血曼陀羅紙帳武士」より 著者:国枝史郎
、剣道の極意を詠った和歌であった。 (切り結ぶ太刀の下こそ地獄なれ身を捨ててこそ
浮かぶ瀬もあれ。……そうだ、身を捨ててこそ!) 頼母は猛然と斬り込んだ。 と....
「魔像」より 著者:林不忘
《すてみ》の剣の前に、四人の供は忽《たちま》ち地に反《そ》って……身を捨ててこそ
浮かぶ瀬《せ》もある喬之助の強刃《ごうじん》、白蛇《はくだ》のごとく躍《おど》っ....
「春さきの古物店」より 著者:小川未明
などは、こんど働きに出れば、きっと重いものの台にでもなるだろう。そうすれば、一生
浮かぶ瀬がない。乳母車さんだって、どうせ楽な日はありっこない。まあ、こうして、一....
「武蔵旅日記」より 著者:山中貞雄
無二無三と斬って来る。 殿様が、 T「さては 騙り者か」 と言う。 文六
浮かぶ瀬も無い。 家臣等も、やっと思い出した。 「立札」 T 百両 でズラ....
「融和問題に関する歴史的考察」より 著者:喜田貞吉
人間には七転び八起きということもある。死後のことはいざ知らず、現世においては永劫
浮かぶ瀬のない無間地獄というものはないはずです。したがってそれから出世して、社会....