浮び上る[語句情報] » 浮び上る

「浮び上る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

浮び上るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
青木の出京」より 著者:菊池寛
ていた雄吉は、自分に降りかかって来た嫌疑を、手もなく、青木に背負わせて、自分一人浮び上るのに堪えなかった。彼はその時、ふと青木の今までの行動から、彼の道徳性を調....
雪の白峰」より 著者:小島烏水
の中で、コバルト色の山が、空と一つに融ければとて、雪の一角は、判然《はっきり》と浮び上る、碧水の底から、一片の石英が光るように。 蒼醒《あおざ》めて、純桔梗色....
空襲葬送曲」より 著者:海野十三
は、うまうま一杯、かつがれてしまったじゃないか。これで、大東京の輪廓が、はっきり浮び上るのだ。米国空軍の目標は、これで充分だ。あとは、約束の賞金にありつく許り。....
恐怖の口笛」より 著者:海野十三
速、僕のお願いを聞きとどけて下すって有難うございます。これで僕も失業者の仲間から浮び上ることができます」 一郎はジュリアに頼んで、レビュウ団の座員見習として採....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
して息を窒めたのも無理ではなかった。窓に微かな閃光が燦めいて、鎧扉の輪廓が明瞭に浮び上ると、遠く地動のような雷鳴が、おどろと這い寄って来る。そうした凄愴な空気の....
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝」より 著者:三遊亭円朝
うすれば貴方も寝覚がいゝから、どうか返して下せえ、親子三人、浮び上ります」 丈「浮び上るか沈んでしまうか知りませんが、七年|前預けたものを今まで取りに来ない筈は....
」より 著者:島崎藤村
って群って私を捕虜にして了った」 愛慾の為に衰耄したような甥の姿が、ふとその時浮び上るように、三吉の眼に映じた。二人は両国の河蒸汽の出るところまで、一緒に歩い....
新釈諸国噺」より 著者:太宰治
山と積まれた金銀財宝を眺めて、これだけあれば、ふたたび大官に饗応し、華やかに世に浮び上る事が出来るぞと、れいの虚栄心がむらむらと起り、髭そうろうの大尽といえば、....
共軛回転弾」より 著者:海野十三
押した。すると紙がぱっと蛍光色を呈して光りだした。空白の紙上にはありありと図面が浮び上る。 「共軛回転弾というのは、こういう具合に、二つの硬い球が、丁度鎖の環の....
生あらば」より 著者:豊島与志雄
。そしてその整然たる網の目の下には大きい闇黒があった。一度その淵に陥ったら、再び浮び上ることは出来ないに違いなかった。彼が陥った為めに、一時網の目は揺《ゆら》ぐ....
悲しい誤解」より 著者:豊島与志雄
りてきたかのようである。それから先は空漠たる闇夜だ。見つめていると、巨大な物象が浮び上る。それが、近くまで迫ってきては、煙のように消える。偉大な車輪か、壮大な歯....
変る」より 著者:豊島与志雄
いやに丁寧なのが、愚鈍なぼやけた気持となって返ってきた。彼はその気持のなかから、浮び上るようにして、春枝の姿を眺めた。割烹着の細かな花模様の赤と黄と青とが、ちか....
貞操問答」より 著者:菊池寛
いうようないやな物ばかりを、つつしみもなく、さらけ出す夫人に対して、思わず冷笑が浮び上るのを、ジッと噛みしめながら、椅子から腰を浮かせると、一歩退いて、ハッキリ....
京鹿子娘道成寺」より 著者:酒井嘉七
檜の舞台に、書割は、見渡すかぎりの花の山、うっとりと花に曇った中空に、ゆったりと浮び上るように、連らなっている山の峰――二重、三重。舞台下手には、大きな桜の木、....
えぞおばけ列伝」より 著者:作者不詳
矢の行くようにずっと続いている.海上には,黄金の美しい小鳥どもが,水に潜り,また浮び上る.その音のたのしさ. しばしこの景色に見とれていたが,ふとヤイレスポの....