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「浮華〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

浮華の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
本州横断 癇癪徒歩旅行」より 著者:押川春浪
治その宜しきを得ず、中央政府及び地方行政官は、徒《いたず》らに軽佻《けいちょう》浮華なる物質的文明の完成にのみ焦り、国家の生命の何者であるかを忘れ、一も偉大なる....
私の個人主義」より 著者:夏目漱石
孔雀《くじゃく》の羽根を身に着けて威張っているようなものですから。それでもう少し浮華《ふか》を去って摯実《しじつ》につかなければ、自分の腹の中はいつまで経《た》....
倫敦消息」より 著者:夏目漱石
るという事が気にかかる。その紳士がいかに平気な顔をして得意であるか、彼らがいかに浮華であるか、彼らがいかに空虚であるか、彼らがいかに現在の日本に満足して己らが一....
明暗」より 著者:夏目漱石
第三の責任者は藤井の叔父夫婦であった。ここには誇張も嫉妬《しっと》もない代りに、浮華《ふか》に対する嫌悪《けんお》があまり強く働らき過ぎた。だから結果はやはり誤....
吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
う。 鏡は己惚《うぬぼれ》の醸造器であるごとく、同時に自慢の消毒器である。もし浮華虚栄の念をもってこれに対する時はこれほど愚物を煽動《せんどう》する道具はない....
旧主人」より 著者:島崎藤村
まが、つい昨日のことのように眼中《めのなか》に浮んで来ました。もう私の心にはこの浮華《はで》な御家の御生活《おくらし》が羨しくも有ません。私は柏木のことばかり思....
万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
からいえば、第三句は字余りで、結句は四三調に緊まっている。全体が切実沈痛で、一点浮華の気をとどめて居らぬ。現代の吾等は、擬人法らしい表現に、陳腐を感じたり、反感....
『新訳源氏物語』初版の序」より 著者:上田敏
された所を見れば、これは殆ど言文一致の文章かと察しられる。源氏物語の文体は決して浮華虚飾のものでない。軽率に一見すると、修飾の多過ぎる文章かと誤解するが、それは....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
、自分の愛を更新してゆくには、彼女は充分の知力をそなえていなかった。彼女の官能と浮華的な精神とは、およそ見出し得るかぎりの快楽を愛から引出してしまっていた。もは....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
、ブリュンヒルデは、ドイツのりっぱな夫妻として、たがいの眼に、とくに公衆の眼に、浮華|饒舌《じょうぜつ》な夫婦の情熱を盛んに見せつけていた。それらの作品中には、....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
お似合いなさるでしょうね。」 それからまたうれしいものは、着色石版画、空想的な浮華な詩集、詩的様式の版画、――昔や今の、俳優、音楽家、著作家、ムーネ・シュリー....
新女大学」より 著者:福沢諭吉
挿花の風流を台所に試みて無益なるが如し。然《し》かのみならず古文古歌の故事は往々浮華に流れて物理の思想に乏しく、言葉は優美にして其実は婬風に逸《いっ》するもの多....
大正女流俳句の近代的特色」より 著者:杉田久女
をそめて着たりけり せん女 わが編みて古手袋となりにけり 同 この二句浮華軽佻ならぬ性格を確りと出している。せん女氏は大正女流中の年長者、墨絵の如く葛....
自警録」より 著者:新渡戸稲造
たのである。 またソクラテスの言ったことや為したことが、当時の淫蕩《いんとう》浮華《ふか》なる風俗の進歩をさえぎったから、彼は青年を毒するものなりと呼ばれて死....
光り合ういのち」より 著者:倉田百三
るを要せず、米、麦、豆にて足れり」 私はこの一句が胸にじんとこたえた。私の内の浮華なものを刺されたような気がした。私は新刊の恋愛小説などが無いと言うので軽蔑し....