浮葉[語句情報] » 浮葉

「浮葉〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

浮葉の前後の文節・文章を表示しています。該当する7件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
虞美人草」より 著者:夏目漱石
澄してまた庭の方へ眸《ひとみ》を反《そ》らす。母はおやと思う。さっきの鯉が薄赤く浮葉の下を通る。葉は気軽に動く。 「来ないなら、何とか云って来そうなもんだね。病....
旅愁」より 著者:横光利一
いベンチを矢代と反対の方へ向き変って足を組んだ。睡蓮の花の間に渦紋の漂い密集した浮葉の群青のその配置は、見れば見るほど一つとして同じ形のもののない厳密なリアリズ....
河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
けると、荒れたが、庭づくりで、石の崩れた、古い大な池が、すぐこの濡縁に近く、蓮は浮葉を敷き、杜若は葉がくれに咲いている。……御堂の外格子――あの、前刻階から差覗....
百花園」より 著者:永井荷風
ほとりには蒹葭が生えていたが、水は鉄漿のように黒くなって、蓮は既に根も絶えたのか浮葉もなく巻葉も見えず、この時節には噪しかるべき筈の蛙の声も聞えない。小禽や鴉の....
五重塔」より 著者:幸田露伴
の響き幽かにしてまた人の耳に徹しぬ。 紅蓮白蓮の香ゆかしく衣袂に裾に薫り来て、浮葉に露の玉|動ぎ立葉に風のそよ吹ける面白の夏の眺望は、赤蜻蛉菱藻を嬲り初霜向う....
中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
梢には吹くとも見えで桜花かをるぞ風のしるしなりける (金葉) 風吹けば蓮の浮葉に玉こえて涼しくなりぬひぐらしの声 (〃) この里も夕立しけり浅茅生に....
俳句の作りよう」より 著者:高浜虚子
でありまして、一見したところではちょうど同じような場所に見えましたけれども、その浮葉には別に一つの茎が永く永く延びていて、それはその一かたまりの藻草の上を遥かに....