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海坊主
「海坊主〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
海坊主の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「海異記」より 著者:泉鏡花
を上げて視めるとな、一面にどす赤く濁って来ただ。波は、そこらに真黒な小山のような
海坊主が、かさなり合って寝てるようだ。 おら胴の間へ転げ込んだよ。ここにもごろ....
「吉原新話」より 著者:泉鏡花
万遍の数取りのように、一同ぐるりと輪になって、じりじりと膝を寄せると、千倉ヶ沖の
海坊主、花和尚の大きな影が幕をはびこるのを張合いにして、がんばり入道、ずばい坊、....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
二つの厚い蒲団――その蒲団の夜着の間から、二つの頭が覗いていた。一人は紛れもなき
海坊主のような市会の大立物動坂三郎、そしてもう一人はどうも見たような横顔なので、....
「電気風呂の怪死事件」より 著者:海野十三
ように、無暗矢鱈に藻掻き廻るその裸形の男三人、時に赤鬼があばれるように、時にまた
海坊主がのたうち廻るような幻妖なポオズ――だが、それも極めて短い瞬間の印象でなけ....
「地中魔」より 著者:海野十三
が歩けるのだ。どんどん歩いて月島の海岸に近づくと大辻さんの隙をねらって、海面から
海坊主のような頭を出し、いちはやく服をぬいで、大辻さんに渡し、自分は逃げてしまっ....
「地球盗難」より 著者:海野十三
だした。 博士の住む建物には、灯があかあかと点いた窓が二つ見える。それはまるで
海坊主の二つの眼のようにも感じられた。その窓下に忍びよった大隅学士は、恐る恐る頭....
「霊魂第十号の秘密」より 著者:海野十三
きとおり、そして輪廓《りんかく》だけがやっと見えるか見えないかのものであり、形は
海坊主《うみぼうず》のように、丸味をおびて凸凹《でこぼこ》した頭部《とうぶ》とお....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
時。 現代。 場所。 海底の琅※殿。 人物。 公子。沖の僧都。(年老いたる
海坊主)美女。博士。 女房。侍女。(七人)黒潮騎士。(多数) 森厳藍碧なる琅※殿....
「太平洋魔城」より 著者:海野十三
な古錨がある。あのくろい岩のかげだ。あの古錨に、こいつをくくりつけておけ。いまに
海坊主のえじきになるだろう!」 なにかこう、らんぼうな、むごたらしい言葉をつか....
「夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
がて、納戸の燈、はっと消ゆ。 ※出る化ものの数々は、一ツ目、見越、河太郎、獺に、
海坊主、天守におさかべ、化猫は赤手拭、篠田に葛の葉、野干平、古狸の腹鼓、ポコポン....
「棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
ドロンとした水を湛えている。それから太い大樹の無惨な焼け残りが、まるで陸に上った
海坊主のような恰好をして突立っている。なんだか気味のわるい不吉な形だった。すこし....
「海の使者」より 著者:泉鏡花
く。 この動物は、風の腥い夜に、空を飛んで人を襲うと聞いた……暴風雨の沖には、
海坊主にも化るであろう。 逢魔ヶ時を、慌しく引き返して、旧来た橋へ乗る、と、 ....
「菎蒻本」より 著者:泉鏡花
が、チヤリリともせぬ。 時に、本堂へむくりと立った、大きな頭の真黒なのが、
海坊主のように映って、上から三宝へ伸懸ると、手が燈明に映って、新しい蝋燭を取ろう....
「灯明之巻」より 著者:泉鏡花
堂に、香華の花と、香の匂と明滅する処に、章魚胡坐で構えていて、おどかして言えば、
海坊主の坐禅のごとし。……辻の地蔵尊の涎掛をはぎ合わせたような蒲団が敷いてある。....
「五色蟹」より 著者:岡本綺堂
という料簡があるもんだから、湯気のなかに何か変なものが見えたのさ。海のなかの霧が
海坊主に見えるのと同じ理屈だよ。さもなければ、君があの女のことばかりを考えつめて....