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「海気〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

海気の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
島丸が横浜の桟橋につながれている間から、人々の注意の中心となっていた田川夫人を、海気にあって息気《いき》をふき返した人魚のような葉子のかたわらにおいて見ると、身....
突貫紀行」より 著者:幸田露伴
《しの》ばしく、父母すみたもう方、ふりすてて来し方もさすがに思わざるにはあらず。海気は衣を撲《う》って眠《ねむ》り美ならず、夢魂《むこん》半夜|誰《た》が家をか....
紅黄録」より 著者:伊藤左千夫
お光さんの夫なる人は聞いたよりも好人物で、予ら親子の浜ずまいは真に愉快である。海気をふくんで何となし肌当たりのよい風がおのずと気分をのびのびさせる。毎夕の対酌....
太平洋魔城」より 著者:海野十三
困る。操縦室へ、注意をしてやれ、それから事務長、マニラへ無電をうって、すぐさま近海気象をたずねてくれたまえ」 「はあ、ではすぐ連絡方を、通信室へいって頼んできま....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
いう蒸気船の影なんぞは更に見えないで、寝覚の里も、七里の渡しも、凪《な》ぎ渡った海気で漲《みなぎ》り、驚こうとしても、驚くべきまぼろしが無いのです。 この時し....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
だけのものでしょう。 地の利もいいし、場所柄も結構らしい。第一、床下とはいえ、海気がよく通って、陰深な気分がしないし、床の間が相当高くて、頭がつかえないし、そ....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
の凄じく空に冲って、焔の連って燃るがごときは、やがて九十度を越えんずる、夏の日を海気につつんで、崖に草なき赤地へ、仄に反映するのである。 かくて一つ目の浜は彎....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
だの隆二さんだのが遊びに来て一緒に湯河原の小山にのぼったことがある。こっちの方が海気があるから一層心持がようございます。寿江子をつれて来てよかった。寿江子の体に....
紅毛傾城」より 著者:小栗虫太郎
と蘇古根横蔵は撥を据えて、いつも変わることのない、底知れぬ胆力を示した。そして、海気に焼け切った鉤鼻を弟に向けて、髻をゆるやかに揺すぶるのだった。 「だが兄上、....
潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
中に戻ってゆくような気がするんだぜ」 法水は、検事の手を取って引き上げてから、海気を胸いっぱいに吸い込んだ。そして、すこぶる激越な調子で云った。 「いやこの事....
次郎物語」より 著者:下村湖人
計画だった。未明に鉄舟寺を辞すると、まず竜華寺の日の出の富士を仰ぎ、三保の松原で海気を吸い、清水駅から汽車で御殿場に出て、富士の裾野を山中|湖畔までバスを走らせ....
「太平洋漏水孔」漂流記」より 著者:小栗虫太郎
自慢ですもの」 「僕は、君の不幸にならなけりゃと思うがね」 キューネは、ふかく海気を吸ってナエーアを見まいとする。しかしその眼は、もう間もなくくるだろう、甘酔....
謡曲仕舞など」より 著者:上村松園
○ 伊勢の白子浜に鼓が浦という漁村があって、去年からそこに一軒の家を借りまして、夏じゅうだけ避暑といってもよし、海気に親しむといってもよし、家族づれで出かけていって、新鮮な空気と、清涼な海水に....
二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
ててわざわざ遠廻りの海路を択ぶに決したのは、寒い西比利亜線を行くよりは船で帰るが海気療法ともなるという意見が勝ったからだそうで、不思議に加茂丸へ移乗した時は担架....
妖影」より 著者:大倉燁子
げてお嬢さんに云いながら、今度は私の方を向いて云い訳するように云うのだった。 「海気で体がしっとりしてきたから、もう部屋へ入りたいと申しますので――」 やっと....