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海綿
「海綿〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
海綿の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「蜃気楼」より 著者:芥川竜之介
埋《うず》まった遊泳靴《ゆうえいぐつ》の片っぽだった。そこには又海艸の中に大きい
海綿もころがっていた。しかしその火も消えてしまうと、あたりは前よりも暗くなってし....
「少年」より 著者:芥川竜之介
鹸《せっけん》だらけになっていた父へ旦那様《だんなさま》何とかと声をかけた。父は
海綿《かいめん》を使ったまま、「よし、今行く」と返事をした。それからまた保吉へ顔....
「蟹工船」より 著者:小林多喜二
をやれの、 ホンに、つとめはつらいもの。 誰か歌った。すると、一度で、その歌が
海綿にでも吸われるように、皆に覚えられてしまった。何かすると、すぐそれを歌い出し....
「家」より 著者:島崎藤村
に、激しい、冷い寝汗が流れた。まるで生命の油が尽きて行くかのように。それを豊世は
海綿で拭き取ってやったことも有った。 その時の夫の言葉を、彼女は思出した。 「....
「ふしぎ国探検」より 著者:海野十三
なく、これもまた古い洋館の一間の中が見えた。品のある貴族がしきりに、水槽の中に、
海綿のベルトを見つめている。 「あれが有名なるコングレープ卿です」 と、ポーデ....
「超人間X号」より 著者:海野十三
みの、ぶよぶよした灰色の塊《かたまり》がのっている。どこか人間の脳髄に似ている。
海綿を灰色に染め、そしてもっとぶよぶよしたようにも見える。なんともいえない気味の....
「めでたき風景」より 著者:小出楢重
人間の世界には水分が一滴もなくなっていた。それで折角のうれしいドーナツも、乾いた
海綿の如く口中に充満して私は悲しかった。以来私は一杯の水、一滴の雨水を結構と思う....
「菎蒻本」より 著者:泉鏡花
梯子段。 「いらっしゃい。」と……水へ投げて海津を掬う、溌剌とした声なら可いが、
海綿に染む泡波のごとく、投げた歯に舌のねばり、どろんとした調子を上げた、遣手部屋....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
にもわかりますまい。もしあなたがたがそれを見たらば、魂は消え、息は止まり、総身は
海綿のように骨なしになって、からだの奥までぐずぐずに頽れてしまうことでしょう。 ....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
の間に気違いらしい感じのする顔をしていた。しかもその又風呂敷包みの中から豹に似た
海綿をはみ出させていた。 「軽井沢にいた時には若い亜米利加人と踊ったりしていたっ....
「博物誌」より 著者:岸田国士
るくらいにしてやる。鬣も梳くし、細い尻尾も編む。手で、また声で、機嫌をとる。眼を
海綿で洗い、蹄に蝋を引く。 いったい、こんなことが彼には嬉しいだろうか。 わ....
「一週一夜物語」より 著者:小栗虫太郎
だけど、……実はパドミーニがいないんで、お願いするんだけど……、そこにある、三角
海綿をここへ持ってきてくれない?」 とたんに、私は、ぱちぱちっと瞬きました。ゆ....
「夢殿殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
巧みに使われていて、それを馬鹿な馬来人が驚いている始末だがね。あの茎の内部にある
海綿様繊肉質は血であろうと何んであろうと、苟しくも液体ならば、凡て容赦しない。つ....
「「太平洋漏水孔」漂流記」より 著者:小栗虫太郎
らう至宝的存在だ。その彼が、稀獣|矮麟を追い、麝牛をたずね、昼なおくらき大密林の
海綿性湿土をふみ、あるいは酷寒水銀をくさらす極氷の高原をゆくうちに、知らず知らず....
「高野豆腐」より 著者:北大路魯山人
裁も悪いし味も悪いから、こわれぬように注意することが肝要である。絞り方はちょうど
海綿を絞るような具合にすればよい。やわらかいものであればあるほど手際を要するから....