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海鳥
「海鳥〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
海鳥の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
か船のどの舷《げん》からもながめる事はできなくなっていた。背羽根の灰色な腹の白い
海鳥が、時々思い出したようにさびしい声でなきながら、船の周囲を群れ飛ぶほかには、....
「俊寛」より 著者:菊池寛
った。 夜が更くるにつけ、俊寛の声は、かすれてしまった。おしまいには、傷ついた
海鳥が泣くようなかすかな悲鳴になってしまった。が、どんなに声がかすれても、根よく....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
が運命の物すごさをもって海上に長く尾を引きながら消えて行く。 どこからともなく
海鳥の群れが、白く長い翼に羽音を立てて風を切りながら、船の上に現われて来る。猫の....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
船「恐怖」号の残骸が、朽ちくさった果ての肋骨のような姿をみせ、百年ばかりのあいだ
海鳥の巣になっている。いずれは「冥路の国」を衝くものはこうなってしまうのだと、は....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
であった。疑いもなく、水夫らの聞いたのは、舵鎖のきしる音か、あるいは通りすがりの
海鳥の鳴き声であったろう。わたしはその音を聞くために、いくたびか寝床から連れて行....
「紅毛傾城」より 著者:小栗虫太郎
。それが、嵐を前にした、ねつっこい静けさとでもいうのであろうか。いや、嵐を呼ぶ、
海鳥の泣き狂う声さえ聞こえないではないか。 背後には、四季絶えず陰気の色の変わ....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
したが、ふと瞳を開き切って、彼はきっと聴き耳を立てはじめた。 それは、潮の轟き
海鳥の叫び声に入り交って先刻検事が耳にしたと同じく、きれぎれにどこか隣室の、遠い....
「「太平洋漏水孔」漂流記」より 著者:小栗虫太郎
新遭難船の人たち。絶望、発狂、餓死、忍びよる壊血病。むくんだ腐屍の眼球をつつく、
海鳥の叫声。じつに、凄惨といおうか生地獄といおうか、聴くだに慄っとするような死の....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
て静かなることは夜にも似て、おおしく飛ぶのはただ信天翁だけである。) 信天翁は
海鳥にして、俗称阿房鳥という。洋語にてアルバトロスと呼ぶ。赤道をこえて以来、毎日....
「黒い旗物語」より 著者:小川未明
うにものすごく見えます。風は叫び声をあげて頭の上を鋭く過ぎていました。名も知らぬ
海鳥が悲しく鳴いて中空に乱れて飛んでいました。爺と子供の二人は、ガタガタと寒さに....
「薬売り」より 著者:小川未明
いました。すると、つづいて羽ばたきする音が聞こえました。 「きっと、風のために、
海鳥がねぐらを取られて騒いでいるのだろう。」と思いました。 その羽ばたきが、あ....
「大きなかに」より 著者:小川未明
した。 「これはなに?」と、太郎は、目を円くして問いました。 「これかい、これは
海鳥だ。昨夜、おじいさんが、この鳥に乗って帰ってきなすったのだ。」と、お母さんは....
「塩を載せた船」より 著者:小川未明
乞食は、赤ん坊をおぶって、いつかたった町へもどってゆきました。海辺には、白い、
海鳥が空を舞っていました。日の光は、彼のゆく道を暖かに照らしていました。 まだ....
「赤い船のお客」より 著者:小川未明
ちぎわに岩があって、波のまにまにぬれて、日に光っていました。 そして、翼の白い
海鳥が飛んでいました。 笛には、いくつかの小さな穴があいています。 その一つ....
「海のかなた」より 著者:小川未明
した。いつしか自分の弾いているバイオリンの音は、悲しい響きをたてていたのでした。
海鳥は、しきりに鳴いています。頭の上の松の木を渡る風の音まで、バイオリンの音に心....