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海鼠
「海鼠〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
海鼠の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
てながら、牧野の酒の相手をした。二人の間の茶ぶ台には、大抵《たいてい》からすみや
海鼠腸《このわた》が、小綺麗な皿小鉢を並べていた。
そう云う時には過去の生活が....
「運」より 著者:芥川竜之介
っていた所でございますから、驚いたの驚かないのじゃございませぬ。見ると、人間とも
海鼠《なまこ》ともつかないようなものが、砂金の袋を積んだ中に、円《まる》くなって....
「高野聖」より 著者:泉鏡花
何心なく手をやって掴《つか》むと、滑《なめ》らかに冷《ひや》りと来た。
見ると
海鼠《なまこ》を裂《さ》いたような目も口もない者じゃが、動物には違いない。不気味....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
の空はしだいに厚くなって来て、魔のような黒い雲がこの町の上を忙がしそうに通った。
海鼠《なまこ》売りの声が寒そうにきこえた。 「これは神田の半七親分だ。おとなしく....
「追憶」より 著者:芥川竜之介
った。僕はある日の暮れがた、ある小学校の先輩と元町通りを眺めていた。すると亜鉛の
海鼠板を積んだ荷車が何台も通って行った。 「あれはどこへ行く?」 僕の先輩はこ....
「眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
士先生の若夫人と色男の画師さんは、こうなると、緋鹿子の扱帯も藁すべで、彩色をした
海鼠のように、雪にしらけて、ぐったりとなったのでございます。 男はとにかく、嫁....
「二十五年間の文人の社会的地位の進歩」より 著者:内田魯庵
として見られていた。 二十五年前には今の日比谷の公園の片隅に、昔の大名の長屋の
海鼠壁や二の字窓が未だ残っていた。今の学者町たる本郷西片町は開けたばかりで広い/....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
上郡から志摩へ入って、日和山を見物する。……海が凪いだら船を出して、伊良子ヶ崎の
海鼠で飲もう、何でも五日六日は逗留というつもりで。……山田では尾上町の藤屋へ泊っ....
「革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
と重量を溢まして、筵の上に仇光りの陰気な光沢を持った鼠色のその革鞄には、以来、大
海鼠に手が生えて胸へ乗かかる夢を見て魘された。 梅雨期のせいか、その時はしとし....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
が七月児か、六月児か、昼間見た時、医師の説明をよくは心にも留めて聞かなかったが、
海鼠のような、またその岩のふやけたような、厭な膚合、ぷつりと切った胞衣のあとの大....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
「へい………」 「沢山おあがりよ。おいしいものがなくッて、気の毒だね、おお、その
海鼠がおいしそうじゃないか。」 「ええ。一ツいかがでございます。へへへへへ。」 ....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
よれの三尺、胞衣かと怪まれる帽を冠って、手拭を首に巻き、引出し附のがたがた箱と、
海鼠形の小盥、もう一ツ小盥を累ねたのを両方振分にして天秤で担いだ、六十ばかりの親....
「古事記」より 著者:太安万侶
るか、どうですか」と問う時に、魚どもは皆「お仕え申しましよう」と申しました中に、
海鼠《なまこ》だけが申しませんでした。そこでウズメの命が
海鼠に言うには、「この口....
「数の子は音を食うもの」より 著者:北大路魯山人
が美味い。 干したものを水でもどしたほうが元の生より美味いというようなものは、
海鼠とか、ふかのひれ、ある種のきのこ類などにその例を見るが、あまり多くある例では....
「早稲田神楽坂」より 著者:加能作次郎
を上り、市ヶ谷小学校の前からぶら/\と電車通りを歩いていたのだが、いつかあの白い
海鼠餅を組立てたような、牛込第一の大建築だという北町の電話局の珍奇な建物の前をも....