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浸す
「浸す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
浸すの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「東海道五十三次」より 著者:岡本かの子
はないと言うのである。それは何度通っても新らしい風物と新らしい感慨にいつも自分を
浸すのであった。ここから東の方だけ言っても 程ヶ谷と戸塚の間の焼餅坂に権太坂 ....
「春の潮」より 著者:伊藤左千夫
とばの終わらぬうちに省作は素足で庭へ飛び降りた。 彼岸がくれば籾種を種井の池に
浸す。種
浸す前に必ず種井の水を汲みほして掃除をせねばならぬ。これはほとんどこの地....
「死の快走船」より 著者:大阪圭吉
。草地の奥の小さな池の岸にアセチリン・ランプを置き、池の中へ桁網に詰めたマベ貝を
浸すと、犯人はそのまま陸伝いにこっそり深谷邸へ帰ります。一方、深谷氏の屍体を引張....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
街の空気から徐々に浮き出して来た。 室内の人工の灯りが徐々に流れ込んで、部屋を
浸す暁の光線と中和すると、妙に精の抜けた白茶けた超現実の世界に器物や光景を彩り、....
「運命」より 著者:幸田露伴
事の重畳連続して、其の狂濤は四年の間の天地を震撼し、其の余瀾は万里の外の邦国に漸
浸するに及べるありしが為ならずばあらず。 建文皇帝|諱は允※、太祖高皇帝の嫡孫....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
ない。ただ陸は貴い。けれども、我が海は、この水は、一|畝りの波を起して、その陸を
浸す事が出来るんだ。ただ貴く、美いものは亡びない。……中にも貴女は美しい。だから....
「七宝の柱」より 著者:泉鏡花
明いと思う処は、 「沼だ、ああ、大な沼だ。」 と見る。……雨水が渺々として田を
浸すので、行く行く山の陰は陰惨として暗い。……処々巌蒼く、ぽっと薄紅く草が染まる....
「死者の書」より 著者:折口信夫
前には、俄かに、蓮の茎が乾し並べられた。そうして其が乾くと、谷の澱みに持ち下りて
浸す。浸しては晒し、晒しては水に漬でた幾日の後、筵の上で槌の音高く、こもごも、交....
「博物誌」より 著者:岸田国士
て、わざとゆっくり草を踏みつけて行く。彼は英雄気どりで、糸の先の銀蠅を水のなかに
浸す。隠れるにしても、ほんの時々ポプラの蔭に隠れるだけだ。彼は重々しく生垣に渡し....
「鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
実は赤黒くて、形は蒸菓子の鹿の子そっくりです。飯事に遣います。蔓は皮を剥いて水に
浸すと、粘りのある汁が出て、髪を梳るのに用いられるというので美男葛の名があるので....
「妖怪学」より 著者:井上円了
の理なり。土剋水とは、水よく川海を流る。しかれども、堤を築きこれを埋むれば、流れ
浸すことあたわず。これ、土は水にかつの理なり」 以上の解釈は、古代、理学のいま....
「握り寿司の名人」より 著者:北大路魯山人
に生姜をつけて食うのは必須条件であるが、なかなかむずかしい。生姜の味付けに甘酢に
浸す家もあるが、江戸前としての苦労が足りない。さてこんなことをつぶさに心得てる寿....
「欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
を許さず、人ようやく長じて是非善悪を弁ずるに至り洗礼を挙行す。その式、全身を水に
浸すなり。そのほかの宗派は、水の数滴を赤子の顔に振りかくるのみ。 ヤソ教にて僧....
「娘」より 著者:岡本かの子
して、まだ、くぐもっている。その光線が流れを染めた加減か、岸近い水にちろちろ影を
浸す桜のいろが、河底の奥深いところに在るように見える。 黄|薔薇色に一|幅曳い....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
例えば、水はなるべく流す方がいいといって洪水の勢いを、そのままにして、滔々満々
浸すに任せて置いたら、両岸の人家まで迷惑して害となります。この場合には、水を排か....