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浸潤
「浸潤〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
浸潤の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「片信」より 著者:有島武郎
慢してくれたまえ。今度は片山氏の考えについてだ。「いかに『ブルジョアジーの生活に
浸潤しきった人間である』にしても、そのために心の髄まで硬化していないかぎり、狐《....
「広津氏に答う」より 著者:有島武郎
になるだろう」と。この立場からして私は何といっても、自分がブルジョアジーの生活に
浸潤しきった人間である以上、濫《みだ》りに他の階級の人に訴えるような芸術を心がけ....
「冬の日」より 著者:梶井基次郎
》いただけで通り過ぎていた。そしていつかそれに気がついてみると、栄養や安静が彼に
浸潤した、美食に対する嗜好《しこう》や安逸や怯懦《きょうだ》は、彼から生きていこ....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
余りに少ないと考えたのかも知れない。このように科学の成果が一般民衆の思考過程中に
浸潤し得ないでいたということが、他のいかなる原因よりも以上に、古代の文化が野蛮人....
「雛妓」より 著者:岡本かの子
な肉の力が盛り上り、年頃近い本然の艶めきが、坐っているだけの物腰にも紛飾を透けて
浸潤んでいる。わたくしは思う、これは商売女のいろ気ではない。雛妓はわたくしに会っ....
「単独行」より 著者:加藤文太郎
湿雪の降ったのと同様、概して雪崩を誘起しないが、多量のときは積っている雪の中まで
浸潤して、その雪を湿潤雪とし最後には粒子のあいだを流れて滑剤となり、恐るべき雪崩....
「桃のある風景」より 著者:岡本かの子
つめていると、紅い一面の雲のような花の層に柔かい萌黄いろの桃の木の葉が人懐かしく
浸潤み出ているのに気を取り倣されて、蝙蝠傘をすぼめて桃林へ入って行った。 思い....
「売春婦リゼット」より 著者:岡本かの子
わ動く。そういうあたりまえのことにひょいと気がつくと何とも知れない涙が眼の奥から
浸潤み出るのだ。いつかもこういう事があった。 掛布団の端で撥ねられた寝床人形が....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
る。 『私は一冊の手帳を求め、平生これを懐中して居るようにした。そうすると霊気が
浸潤して、筆の運びが迅いからである。敲音なども、平生使い慣れた卓子には早く起り、....
「雨」より 著者:織田作之助
ろから時々自転車の上で弱い咳をしていたが、あれからもう半年、右肺尖カタル、左肺|
浸潤と医者が即座にきめてしまったほど、体をこわしていたのだった。ガレーヂの二階で....
「道」より 著者:織田作之助
ている音が、毎朝枕元へ響いて来る。漆喰へ水を流す音もする。そのたびに湿気が部屋へ
浸潤して来るように思われたと言う。それがなくても、いったいが湿気の多いじめじめし....
「四十年前」より 著者:内田魯庵
であった。森は早くから外国に留学した薩人で、長の青木周蔵と列んで渾身に外国文化の
浸潤った明治の初期の大ハイカラであった。殊に森は留学時代に日本語廃止論を提唱した....
「狐」より 著者:岡本かの子
があった。 ――十年ばかり前に俳諧師が建てたというね。上方の心中礼讃熱が江戸にも
浸潤して来た影響かな。心中する者より碑を建てる側の方がよほど感傷家だ。 ――しば....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
物を預ったつもりになりなさい。元来、大事な預り物ゆえ、少しくらい嵩張ろうが、汁が
浸潤み出ようが、そっくりそのまま大事に預って置く。それともう一つ、こういう気持ち....
「雨」より 著者:織田作之助
船の火夫をしていた頃から時々弱い咳をしていたが、あれからもう三月、右肺尖カタル肺
浸潤、ラッセルありと医者が簡単に決めてしまったほど、体を悪くしてしまっていた。ガ....