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消え去る
「消え去る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
消え去るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「富士」より 著者:岡本かの子
の二流れの雲は峯々を絡み、うずめ、解けて棚引く。峯々の雲は日のある空へ棚引いては
消え去る。
消え去るあとからあとから、藍墨の掃毛目の空は剥離して雲を供給する。峯は....
「奴隷根性論」より 著者:大杉栄
ど唯一の大道徳律であったのである。 そしてこの道徳律が人類の脳髄の中に、容易に
消え去ることのできない、深い溝を穿ってしまった。服従を基礎とする今日のいっさいの....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
て来て私の衷に巣喰うのだ。それには愛によっての獲得と同じように永く私の衷にあって
消え去ることがない。愛はそれによって、不消化な石ころを受け入れた胃腑のような思い....
「春の潮」より 著者:伊藤左千夫
も、省作の便りを見、まれにも省作に逢うこともあれば、悲しいもつらいも、心の底から
消え去るのだから、よそ目に見るほど泣いてばかりはいない。例の仕事|上手で何をして....
「少年探偵長」より 著者:海野十三
はゾッとして顔を見合せた。さて、それから間もなく、ヘリコプターの爆音が、西の空に
消え去るのを待って、三人が山小屋から外へとびだしてみると、東のかた、六天山の上空....
「地球要塞」より 著者:海野十三
とおりすばらしい戦闘力をもったクロクロ島だ。そのクロクロ島が、まるで、煙のように
消え去るとは、合点がいかない」 私の心は、じりじりしてきた。 (よし、このうえ....
「宇宙戦隊」より 著者:海野十三
人は、山岸少年の兄の山岸中尉であった。 児玉法学士は、例の怪物が水蒸気のように
消え去るところを目撃した、貴重な人物であるが、室戸博士はそれを信じてくれない。し....
「火星兵団」より 著者:海野十三
なことは、とても三人の力で、出来そうもない。
ああ、地球はついに、空中で火花が
消え去るように、消えてしまうのであろうか。
蟻田博士は、どういうものか、前から....
「火葬国風景」より 著者:海野十三
てきては、身体の傍をスレスレに通りすぎるのだった。それもやがて、水の泡沫のように
消え去ると、今度は大小さまざまのシャボン玉が、あっちからもこっちからも群をなして....
「妖僧記」より 著者:泉鏡花
軒下、かしこの塀際、垣根あたりの薄暗闇に隠見しつつ、腹に充たして後はまた何処へか
消え去るなり。 二 ここに醜怪なる蝦蟇法師と正反対して、玲瓏玉を....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
時、その処女はすべて小説ちゅうの人物ならざるはなく、彼女の影が遠く街路樹のうちに
消え去るまで、それを考えつづけているのである。彼が町をあるく時、あたかも小説を読....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
る苦痛のつぶやきをもって発したのである。 これはおそらく永久にわたしの記憶から
消え去ることはないであろう。彼は縄梯子に取りすがって、舷檣の頂きに登ろうと努めた....
「墓」より 著者:秋田滋
て消え失せてしまうのです。ああ、考えてもみて下さい。そのひとはただあなたの前から
消え去るばかりではなく、永久にこの地上からその姿を消してしまうのです、つまり、死....
「旅客機事件」より 著者:大庭武年
要上自分達だけで作っている地上標識が、三分乃至五分おき位に、眼界に現れて眼界から
消え去る。慣れた道だ、天候は良くないが、先ず今日は心配気はない空の旅。 「便所に....
「耳香水」より 著者:大倉燁子
人達を訪れて、若干の金を恵んで行く男があるというのです。貧民窟を潤して煙のように
消え去るその人の感じが、いかにも鼠色というのに相応しかった。どうもあれが鼠色の男....