消し去る[語句情報] » 消し去る

「消し去る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

消し去るの前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
彼岸過迄」より 著者:夏目漱石
に溯《さかの》ぼって当初から真直《まっすぐ》に黒い棒で誤解という名の下《もと》に消し去る事ができたかも知れない。ところが僕はつい不味《まず》い事をしたのである。....
すり替え怪画」より 著者:海野十三
ますのさ。また、君の持っている薬液を真似て、それと性質の違った別の絵具を溶かして消し去る重宝な薬液の用意もござりまする。だから烏啼大人よ。もうこんな古い手はお使....
化銀杏」より 著者:泉鏡花
|休まむ。 光を厭うことかくのごとし。されば深更|一縷の燈火をもお貞は恐れて吹消し去るなり。 渠はしかく活きながら暗中に葬り去られつ。良人を殺せし妻ながら、....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
義の作家らを憎んだ。それでもやはり、幼年時代に甘やかされた悲しい夢の影をまったく消し去ることはできなかった。後ろを振り返ってながめようとはしなかったけれど、自分....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
彼女がもう彼のことを気づかず彼のことを頭に浮かべないようにと、願っていた。それは消し去ること以上で、蝕《しょく》し去ることであった。 マリユスは必要であり正当....
堕落論」より 著者:坂口安吾
流浪であるが、それにも拘らず美しいものを美しいままで終らせたいという小さな希いを消し去るわけにも行かぬ。未完の美は美ではない。その当然堕ちるべき地獄での遍歴に淪....
青鬼の褌を洗う女」より 著者:坂口安吾
しめたかったに相違ない。おなさけ、というようなことでは自分自ら納得できない気分を消し去ることができない気質であった。 私はしかしエッちゃんが約束通り全勝したら....
街はふるさと」より 著者:坂口安吾
ら、素直にシミジミと心を傾けてききいれることができた。すると心は洗われて、過去を消し去ることができたようなサッパリした気持にもなれた。 過去の姿を今に伝えてい....
国立国会図書館について」より 著者:中井正一
止めはしなかった。アレクサンドリア図書館がエジプトにできたのは、いかなる戦いもが消し去ることなき大いなる流れの跡をしめしているのである。 そしてそれを中心にあ....
次郎物語」より 著者:下村湖人
ものよりどころであったこの言葉も、彼の幻滅感をやわらげ、実社会に対する彼の疑惑を消し去るには、何の役にも立たず、かえって、そんな言葉をよりどころにしていた自分に....
判決」より 著者:カフカフランツ
そらくぼくのことをうらやましいと思い、きっと不満を感じ、しかもその不満をけっして消し去ることもできないままに、ひとりぽっちでロシアへ帰っていくことになるだろう。....
生きること作ること」より 著者:和辻哲郎
はかなり鋭い心理家になっているだろう。今の私はなお自欺と自己弁護との痕跡を、十分消し去ることができない。自己弁護はともすれば浮誇にさえも流れる。それゆえ私は苦し....
」より 著者:和辻哲郎
もしれない。しかしそれによって形成せられた一つの様式がその特殊の美を持つことは、消し去るわけには行かないのである。 復興された東京を見て回って感じさせられたこ....
私本太平記」より 著者:吉川英治
んわり、言外にほのめかしていたものだった。 戦いは戦いだけで終らない。 敵を消し去ると、すぐまた、味方同士、味方内の仮想敵を見つけ出す。それは政略という互い....