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消却
「消却〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
消却の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「夜行巡査」より 著者:泉鏡花
り。お香はハッと絶え入りぬ。あわれ八田は警官として、社会より荷《にな》える負債を
消却せんがため、あくまでその死せんことを、むしろ殺さんことを欲しつつありし悪魔を....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
入者の後側へすべての方向から落下してくる物質は互いに衝突してその運動は大部分相い
消却してしまうのであるが、しかし密度が非対称的であるために若干の運動が残留し、そ....
「去年」より 著者:伊藤左千夫
あるから苦しいのだ。嗜好に熱があるだけ苦しみも深い。 友人の借銭もじゅうぶんに
消却し得ず、八人の子のしまつも安心されない間で、なおときどき無要なもの好きをする....
「蓄音機」より 著者:寺田寅彦
折れ曲がった管の中を通過させて試験した人もある。そうすれば雑音の短い音波はかなり
消却されるがそのかわり音が弱くなるのは免れ難いし、また同時に肝心の楽音の音色にも....
「銀座アルプス」より 著者:寺田寅彦
と思う。その側面を広告塔にすれば気球広告よりも有効で、その料金で建設費はまもなく
消却されるであろう。高い所に上がりたがるのは人間というものに本能的な欲望である。....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
ったりするごとく、同様に善かったり、悪しかったりする。物を観るのに善、悪の区別を
消却するのはあたかも物体に一つのディメンションを認めないようなものである。人生に....
「塵埃と光」より 著者:寺田寅彦
きいが、その体積に対して面積が割合に大きいために、空気の摩擦の力が重力の大部分を
消却し、その上到るところに渦のような気流があるために永く空中に浮游しうるのである....
「夕凪と夕風」より 著者:寺田寅彦
を利かせて、従って夕凪が顔を出す。しかし低気圧がもう一層近くなってそれが季節風を
消却してなおおつりの出る場合には、夕風は夕風でもいつもとは反対の夕風が吹くのであ....
「一商人として 」より 著者:相馬愛蔵
以上を割かれることになる。自動車はフォード級の普通車を使用してすら、その買入費の
消却と、その金利と税金、運転士給料、車庫料、消耗品とガソリン代等を合算すれば、一....
「頸飾り」より 著者:辻潤
すれば沈み勝な心をとりなおして、我れと我身を奮ましながら、恐ろしい負債を是非とも
消却しなければならぬと考えた。まず下婢に暇をやって、今までの住居を引き払って下層....
「不在地主」より 著者:小林多喜二
何十倍もの造田が出来た。造田さえされれば、「低利資金」位は小作料だけで、ドシドシ
消却出来た。 ――健にも分る。これだけのことを見ても、結局の背負いどころは誰か....