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「消散〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

消散の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
皮膚と心」より 著者:太宰治
守ろう。そう覚悟をきめますと、それまで内心、うじゃうじゃ悩んでいたもの、すべてが消散して、苦しさも、わびしさも、遠くへ去って、私は、家の仕事のかたわら、洋裁の稽....
ある心の風景」より 著者:梶井基次郎
かを影法師のように過ぎてゆく想念がだんだん分明になって来る。 彼の視野のなかで消散したり凝聚《ぎょうしゅう》したりしていた風景は、ある瞬間それが実に親しい風景....
三人の双生児」より 著者:海野十三
元気に見えた。しかし彼の青白いねっとりした皮膚や、怪しい光のある眼つきなどは別に消散する様子もなく、どっちかといえば更に一層ピチピチした爬虫類になったような気が....
黒髪」より 著者:近松秋江
面を立ちこめていた茜色を帯びた白い川霧がだんだん中空をさして昇ってくる朝陽の光に消散して、四条の大橋を渡る往来の人の足音ばかり高く聞えていたのが、ちょうど影絵の....
空想日録」より 著者:寺田寅彦
が飛んでから、それが飛べる必然性が闡明されたりする。大地震が襲来して数万の生霊が消散した後にその地震が当然来るはずであった事が論ぜられたりするのは事実である。 ....
蒸発皿」より 著者:寺田寅彦
えながら歩いているうちに、いつのまにか数寄屋橋に出た。明るい銀座の灯が暗い空想を消散させた。 紫色のスウィートピーを囲んだ見合いらしいはなやかな晩餐の一団と、....
映画と生理」より 著者:寺田寅彦
内容がひとかたまりになって頭の中にへばりついたようなぐあいになってそれがなかなか消散しない。用がすんだら弛緩してもいいはずの緊張が強直の状態になってそれが夜まで....
小爆発二件」より 著者:寺田寅彦
れる。おもしろいことには、噴出の始まったころは火山の頂をおおっていた雲がまもなく消散して山頂がはっきり見えて来たそうである。偶然の一致かもしれないが爆発の影響と....
大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
は小笠原島の南東に颱風が発生した事を報じる。重い湿度はわれわれの全身を包んで終日消散しない。驟雨が時々やってくる。そしてどこからとも知れず、通り魔の如く冷たい風....
ジーキル博士とハイド氏の怪事件」より 著者:佐々木直次郎
畑に照った暑い秋の午後の日光が、今にも葡萄酒の中からとき放されて、ロンドンの霧を消散させようとしているかのようであった。だんだんと弁護士は気分がやわらいできた。....
猫の穴掘り」より 著者:寺田寅彦
だで圧迫された痕跡が赤く印銘されているのでそこを引っかき摩擦すればしびれはすぐに消散するのである。病気にもこんな風に自覚症状の所在とその原因の所在とがちがうのが....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
あって、人がそれを焼けば枯れて焼けうせる。その花の元素が何であろうとも、どこかへ消散してしまって、それを見受けることも出来ず、ふたたび集めることも出来ない。しか....
歳時記新註」より 著者:寺田寅彦
られて容易に地に落ちず空中に浮かんでいる。野山の霧は消えやすいに反して市街の霧が消散し難いのは水滴の核になる塵の差違から起るという事である。霧で有名なはロンドン....
政治に関する随想」より 著者:伊丹万作
化が進歩し、民衆の政治意識が健全に発育すれば、彼らの大部分は自信を喪失して次第に消散するであろう。すなわち、現在のごとき粗悪な候補者どもを退治する唯一の道は、国....
純粋経済学要論」より 著者:手塚寿郎
主義的重農主義的見方(第七節)を経済社会についてもっていて、そのためにこの見方を消散せしめるどころか、かえって自ら指摘し非難した混同に陥っていることである。彼が....