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「消毒薬〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

消毒薬の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
》っ張《ぱ》りを脱ぐと、看護婦が噴霧器《ふんむき》を持って来て倉地の身のまわりに消毒薬を振りかけた。そのかすかなにおいがようやく葉子をはっきりした意識に返らした....
放浪」より 著者:織田作之助
。 木下が女と遊んでいる間、順平は一人で屋台を切り廻さねばならなかった。どぶと消毒薬の臭気が異様に漂うていて、夜が更けると大阪ではきき馴れぬあんまの笛が物悲し....
いのちの初夜」より 著者:北条民雄
たのか、どうして江ノ島で海へ飛び込んでしまわなかったのか――便所へはいり、強烈な消毒薬を嗅ぐと、ふらふらと目眩《めまい》がした。危うく扉にしがみついた、間髪だっ....
金属人間」より 著者:海野十三
回転いすに腰をかけている。 警部は、その死骸いりの大きな引出をひっぱり出した。消毒薬くさいカンバスにおおわれて若い男の死体がはいっていた。しかしその男の頭蓋骨....
二、〇〇〇年戦争」より 著者:海野十三
ないけれど、どうやら、本当の戦闘が始まるらしいぞ。衛生隊では、たくさんのガーゼを消毒薬液の中へ、どんどん放りこんでいる」 「じゃあ、いよいよ本当の戦闘だな。しか....
爆薬の花籠」より 著者:海野十三
かないでいることは、いいことではない。 夜は明けはなれた。 カーテンをひくと消毒薬でむんむんする室内のにごった空気が外へ出ていって、入れかわりに、サイダーの....
火星兵団」より 著者:海野十三
そうな顔であった。 新田先生は、人波をわけて、中にはいった。すると、ぷうんと、消毒薬のきついにおいがした。奥には、白いうわっぱりを着たお医者さんが、看護婦相手....
菜穂子」より 著者:堀辰雄
一人でもって暮らし出す様子を思い描いた。彼はこの頃忘れるともなく忘れていた強烈な消毒薬や病気や死の不安のにおいを心によみ返らせた。なにか魂をゆすぶるもののように....
旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
いた。 木魚のおじいさんが助手で、膿盤《のうばん》は幾個もとりかえられた。強い消毒薬のかざは流れてきたが父の苦痛はすこしも洩《も》れず、よく堪《こら》えている....
追憶」より 著者:宮本百合子
ともう軽い興奮を覚える様であった。 殊に彼の明るい天井の手術室の辺に漂うて居た消毒薬の香いは、今でも此の鼻の先に嗅げる程はっきりした印象となって残って居るので....
黒馬車」より 著者:宮本百合子
に埋まって居る瘠せほうけた宮部を一様に思い浮べて居た。 今まで通って居た便所に消毒薬を撒いたり、薬屋に□□錠の薄める分量をきいたりしてざわざわ落つきのない夜が....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
東京からクレオソート丸を千粒ほど、キニーネを二百粒、クリームとなっている一寸した消毒薬を三チューブ買って来て持たせました。急に腹巻をきのうこしらえて、それもおな....
幻の彼方」より 著者:豊島与志雄
がいるような気がして自ら自分を励ましながら、半ば捨鉢に秋子の室へはいって行った。消毒薬の匂いがぷんと鼻にきた。散らかった室の中の有様が一度に眼へ飛び込んできて、....
長崎の鐘」より 著者:永井隆
紙も持たねば鉛筆も失っている。わずかにメスとピンセットと、縫合針と、いくばくかの消毒薬と繃帯材料が、葦の葉であんだ買い出し篭に入っているばかり。しかしながら我に....
放浪」より 著者:織田作之助
。 木下が女と遊んでいる間、順平は一人で屋台を切り廻さねばならなかった。どぶと消毒薬の臭気が異様に漂うていて、夜が更けると大阪ではきゝ馴れぬあんまの笛が物悲し....