涙ぐむ[語句情報] » 涙ぐむ

「涙ぐむ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

涙ぐむの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
路上」より 著者:芥川竜之介
はないだろう。」 大井はいよいよ酔が発したと見えて、声さえ感動に堪えないごとく涙ぐむようになって来た。 三十五 その内に二人は、本郷行《....
或る女」より 著者:有島武郎
場合でも、葉子は定子《さだこ》を思い出して、胸がしめつけられるようになって、すぐ涙ぐむのだった。この場合はことさらそうだった。見ていられないほどそれらの子供たち....
婦系図」より 著者:泉鏡花
むるごとく、熟と瞶る地図を的に、目を※って、先刻からどんなに堪えたろう。得忍ばず涙ぐむと、もうはらはらと露になって、紫の包にこぼれた。あわれ主税をして見せしめば....
出家とその弟子」より 著者:倉田百三
外をあらしの音がする。 慈円 私はどうなってもよろしい。ただお師匠だけは……(涙ぐむ) 左衛門 あいにくそのお師匠様がいちばんきらいだよ。人に虚偽を教えるもの....
愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
きかけるのは他人を傷つけることだという道徳的の理由からである。私は師の心を察して涙ぐむ。しかしそれにもかかわらず、私は今これから他人に向けて働きかけようとしてい....
夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
いまし。(しんみりと学円に向って三指して云う。) 学円 (引き入れられて、思わず涙ぐむ。)御殊勝ですな。他人のようには思いません。 晃 (同じく何となく胸せまる....
錦染滝白糸」より 著者:泉鏡花
を。 七左 はあ、香花、お茶湯、御殊勝でえす。達者でござったらばなあ。 村越 (涙ぐむ。) 七左 おふくろどの、主がような後生の好人は、可厭でも極楽。……百味の....
星女郎」より 著者:泉鏡花
程に見えました。 (どんなに、可懐しゅうござんしたでしょう。) たちまち悄れて涙ぐむように、口許が引しまった。 見ると堪らなくなって、 (そのかわり、また、....
ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
行った。新しく来た動物を見たり、猿がいろいろないたずらをするのを見て喜び、果ては涙ぐむことさえもある。 また金曜日の夕方に挨拶し、友人が来ると、「よくお出で」....
ドモ又の死」より 著者:有島武郎
なければならないんだ。 とも子 冗談もいいかげんにするものよ、人を馬鹿にして。(涙ぐむ) 花田 なあに、冗談じゃない。わけはない、ころっと死にさえすればいいん....
勘平の死」より 著者:岡本綺堂
がっかりして、骨も魂も抜けてしまったようだから、まして、お前は……。(云いかけて涙ぐむ。)察していますよ。 (お冬は声を立てて泣き入る。) おさき ああ、そんな....
式部小路」より 著者:泉鏡花
顔を見ないと、苦労にする、三日四日となると鬱ぎ出す、七日も逢わなかろうものなら、涙ぐむという始末。 じゃ顔を合わせればどうかというと、すねるような、くねるよう....
木と鳥になった姉妹」より 著者:小川未明
またよく姉を慕いました。 姉は、気質のきわめてやさしい人柄でありまして、すぐに涙ぐむというほうでありましたけれど、あまり顔が美しくありませんでした。妹のほうは....
木に上った子供」より 著者:小川未明
でした。ただ、あちらの雲の往来する、そのまたあちらの、空のところだと思って、目に涙ぐむのでありました。 「おばあさん、僕のお母さんは、いつ帰ってくるの?」と、辰....
人間否定か社会肯定か」より 著者:小川未明
疲れた人として、街頭に突き出される日の、そう遠い未来でないことを感ずることから、涙ぐむのであった。 人間性を信じ、人間に対して絶望をしない私達もいかんともし難....