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涵
「涵〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
涵の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「冬の日」より 著者:梶井基次郎
えた雲はまたつぎつぎに死灰になりはじめた。彼の足はもう進まなかった。 「あの空を
涵《みた》してゆく影は地球のどの辺の影になるかしら。あすこの雲へゆかないかぎり今....
「雪後」より 著者:梶井基次郎
味悪く光っていた。 バサバサと凍った雪を踏んで、月光のなかを、彼は美しい想念に
涵《ひた》りながら歩いた。その晩行一は細君にロシアの短篇作家の書いた話をしてやっ....
「茶の本」より 著者:岡倉覚三
れば、茶の葉の質の最良なものは必ず次のようなものである。 胡人の※の水を払う者|
涵澹然たり(八) また新治の地なる者暴雨|流潦の経る所に遇うがごとし(九) 第....
「運命」より 著者:幸田露伴
したるに合せ考うれば、孝孺が善良の父、方正の師、孔孟の正大純粋の教の徳光恵風に浸
涵して、真に心胸の深処よりして道を体し徳を成すの人たらんことを願えるの人たるを看....
「温泉」より 著者:梶井基次郎
に刳り抜かれた溪ぎわへの一つの出口がまた牢門そっくりなのであった。昼間その温泉に
涵りながら「牢門」のそとを眺めていると、明るい日光の下で白く白く高まっている瀬の....
「役人学三則」より 著者:末弘厳太郎
きるようになるのである。 第三条 およそ役人たらんとする者は平素より縄張り根性の
涵養に努むることを要す。 学校では、国家は矛盾なき一個の統一体である、と教える....
「桜の園」より 著者:神西清
びとに、未来への勇気と信念を保持せしめ、われわれのうちに、善と社会的自覚の理想を
涵養してくれた。(間) ロパーヒン なるほど…… ラネーフスカヤ あなた相変らず....
「役人の頭」より 著者:末弘厳太郎
び刀をかつぎだすようなことを唱えはじめたのです。彼らの「民心統一」といい、「民力
涵養」といい、「淳風美俗」というものがすなわちそれです。しかし、彼らの「復古」は....
「書記官」より 著者:川上眉山
風は静かに打ち寄する漣を砕きぬ。ここは湖水の汀なり。争い立てる峰々は残りなく影を
涵して、漕ぎ行く舟は遠くその上を押し分けて行く。松が小島、離れ岩、山は浮世を隔て....
「にらみ鯛 」より 著者:佐藤垢石
らゆるご不自由に堪え、ご質素を忍ばれたのである。我々赤子が、何で物を節して国力の
涵養に尽くし得ぬことがあろう。大いに物を節約しようではないか。 (一一・六・五)....
「法学とは何か」より 著者:末弘厳太郎
理論により、いかなる技術を通して導き出されたかの経路に留意して、自らの解釈能力の
涵養に役立たせる努力をしなければならない。 (2) 次に、初学者として是非とも....
「明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
関するいろいろの知識を幼い頭脳に吹き込まれた。 そのほかに直接間接に劇の趣味を
涵養してくれたのは、かの定さんの借りている女髪結の家の娘が常磐津を習っていること....
「知々夫紀行」より 著者:幸田露伴
東京へ着き、我家のほとりに帰りつけば、秩父より流るる隅田川の水笑ましげに我が影を
涵せり。....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
本民族の発展に役立って来たかと申しますと、まず第一に国民生活上、和恭勤勉の気風を
涵養したことであります。聖徳太子が御自ら法華経、維摩経、勝鬘経の三経を講述、註疏....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
、如何にも踏み心地が好い。夥しい珍車の白い花がそれへ霰模様を染め出している。草に
涵され草を養っている水の集りが中央に二、三の細流を湛えて、雑魚や水すましの群れこ....