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涼み
「涼み〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
涼みの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「婦系図」より 著者:泉鏡花
や跫音のするまで歩行いた。 婢が来て、ぬいと立って、 「夫人が言いましけえ、お
涼みなさりますなら雨戸を開けるでござります。」 「いや、宜しい。」 「はいい。」....
「食魔」より 著者:岡本かの子
い締められるが故に却って恬淡になれた。 檜垣の主人は、鼈四郎を連れて、鴨川の夕
涼みのゆかから、宮川町辺の赤黒い行灯のかげに至るまで、上品や下品の遊びに連れて歩....
「鶴は病みき」より 著者:岡本かの子
しくなって、町へ一緒に買物に行った。私は、たまった手紙を書き終え九時頃従妹と庭の
涼み台に出た。其処にたった一人麻川氏が居た。星の多い夜だ。私達は話し乍ら星を仰ぎ....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
がまばらに燦めいてくると、子供たちは細い筒の花火を持ち出して往来に出る。そこらの
涼み台では団扇の音や話し声がきこえる。子供たちは往来のまん中に出るのもある、うす....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
げようと思っていたのに、あんまり腕組をなすったんで、いや、案内者、大きに水を見て
涼みました。 それから、ずっと黙りで、橋を渡った処で、(今のは、)とお尋ねなさ....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
さっくりと、見覚えた岩も見ゆる。一本の柿、三本の栗、老樹の桃もあちこちに、夕暮を
涼みながら、我を迎うる風情に彳む。 と見れば鍵屋は、礎が動いたか、四辺の地勢が....
「怪獣」より 著者:岡本綺堂
事に町まで送って来てくれた。 暮れても暑い上に、突然こんな事件に出逢ったので、
涼みながらの散歩が却って汗を沸かせる種となった。わたしは曽田屋へ帰って、二階の座....
「穴」より 著者:岡本綺堂
めに、父はひと晩眠らずに張番していた。それには八月だから都合がいい。残暑の折柄、
涼みがてらに起きていることにして、家内の者はいつものように寝かしつけて置いて、父....
「有喜世新聞の話」より 著者:岡本綺堂
。それから二日目の夕方にお筆さんがそっと来て、今晩お蝶さんと二人で招魂社の馬場へ
涼みに行くから、あなたもあとから来てくれというので、私もついふらふらとその気にな....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
テリの残りて堪えがたければ迚も寝られぬ事ならば、今宵は月も明らかなり、夜もすがら
涼み歩かんと十時ごろより立ち出で、観音へ参詣して吾妻橋の上へ来り。四方を眺むれば....
「備前天一坊」より 著者:江見水蔭
人で、裏口から出て、そぞろ歩きしていた時の事であった。 「やァ評判の半田屋の娘が
涼みに出た」 忽ち人は注目して、自然にお綾を取囲むので、さなきだに備前の夕凪。....
「京の夏景色」より 著者:上村松園
がたを思い浮べて一人楽しんでいる時がないでもありません。 私が十七、八の頃、夕
涼みに四条大橋に行って見ると、橋の下の河の浅瀬には一面に床几が並べられ、ぼんぼり....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
真夏の月夜に、近いあたりの瓜畠――甜瓜のです――露の畠へ、十七ばかりの綺麗な娘で
涼みに出なすった。それを、村のあぶれものの悪少狡児六人というのがやにわに瓜番の小....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
に直ぐ読めて、 「おかしゅうございましょう、先生、檜舞台の立女形と私等みたような
涼み芝居の三下が知己ッてのも凄じいんですが、失礼御免で、まあ横ずわりにでもなって....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
の中で最も見るべきものは方丈の二階の一室の九尺二枚の大襖である。図は四条の河原の
涼みであって、仲居と舞子に囲繞かれつつ歓楽に興ずる一団を中心として幾多の遠近の涼....