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淀
「淀〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
淀の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「仙人」より 著者:芥川竜之介
ていません。ただその医者の庭の松は、ずっと後《あと》までも残っていました。何でも
淀屋辰五郎《よどやたつごろう》は、この松の雪景色を眺めるために、四抱《よかか》え....
「或る女」より 著者:有島武郎
事ができなかった。
事務長がまた新聞を折り返す音を立てた。
葉子ははっとして
淀《よど》みにささえられた木の葉がまた流れ始めたように、すらすらと木村の所作を想....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
た。」 七 「その、河野へ行くに就いてだが、」 と主税は何か、言
淀んで、 「何は、」 お蔦に目配せ、 「茶はないのか。」 「お茶ッて? 有りま....
「海異記」より 著者:泉鏡花
、ぬいと縁側から上り込むと、表の六畳は一杯に暗くなった。 これにギョッとして立
淀んだけれども、さるにても婦人一人。 ただ、ちっとも早く無事に帰してしまおうと....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
窓際に進み、他と、間隔る。公子。これより前、姿見を見詰めて、賽の目と宿の数を算え
淀む。……この時、うかとしたる体に書を落す。) まだ、誰も上らないか。 侍女一 ....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
を下から哄と吹上げる……これが悪く生温くって、灯の前じゃ砂が黄色い。月は雲の底に
淀りしている。神路山の樹は蒼くても、二見の波は白かろう。酷い勢、ぱっと吹くので、....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
、ツンツンテンレン、ツンツンテンレン。 三 片側はどす黒い、水の
淀んだ川に添い、がたがたと物置が並んで、米俵やら、筵やら、炭やら、薪やら、その中....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
、尾花は見えぬが、猫じゃらしが、小糠虫を、穂でじゃれて、逃水ならぬ日脚の流が暖く
淀んでいる。 例の写真館と隣合う、向う斜の小料理屋の小座敷の庭が、破れた生垣を....
「縁結び」より 著者:泉鏡花
」 「……困ったねえ。門徒宗でおあんなすったっけが、トばかりじゃ……」 と云い
淀むと、堪りかねたか、蒲団の上へ、はっと突俯して泣くのであった。 謙造は目を瞑....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
の水に向うて立ちますと、人膚が背後から皮を透して透いて見えます位、急にも流れず、
淀みもしませず、浪の立つ、瀬というものもござりませぬから、色も、蒼くも見えず、白....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
せん。この屋根の上に蘆が生えて、台所の煙出しが、水面へあらわれると、芥溜のごみが
淀んで、泡立つ中へ、この黒髪が倒に、髻から搦まっていようも知れぬ。あれ、そういえ....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
三四人の跫音、声高にものを言い合いながら、早足で近いて、江崎の前へ来るとちょっと
淀み、 「どうもお嬢さん難有うございました。」こういったのは豆腐屋の女房で、 「....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
、畝どなりの廃畑をよく見ると、畳五枚ばかりの真中に、焼棄の灰が、いっぱい湿って、
淀んで、竹の燃えさしが半ば朽ちて、ばらばらに倒れたり、埋れたりしています。……流....
「県歌 信濃の国」より 著者:浅井洌
御嶽乗鞍駒ヶ|岳 浅間は殊に活火山 いずれも国の鎮めなり 流れ
淀まずゆく水は 北に犀川|千曲川 南に木曽川天竜川 これまた国の固め....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
一間半あまりの溝のことである。この溝は僕の知っていた頃にはもう黒い泥水をどろりと
淀ませているばかりだった。(僕はそこへ金魚にやるぼうふらをすくいに行ったことをき....