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淡々
「淡々〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
淡々の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
ートな可憐《かれん》なものに見えた。葉子はいたずらばかりでなく、この青年に一種の
淡々《あわあわ》しい愛を覚えた。
「何を泣いてらしったの」
小首を存分傾けて、....
「富士」より 著者:岡本かの子
人々。もはやあなたとわたくしを継ぐとか切るとかいうせきは放れております」と女神は
淡々としていった。 「あなたが、わたくしを思い捨てなさるほど、わたくしはあなたに....
「東海道五十三次」より 著者:岡本かの子
「まあ、そんなところだろう」 私たちの結婚も昂揚時代というものを見ないで、平々
淡々の夫婦生活に入っていた。父はこのときもう死んでいた。 そのときの目的は鈴鹿....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
ら突然現世に帰った人のように、君の心はまだ夢ごこちで、芸術の世界と現実の世界との
淡々しい境界線をたどっているのだ。そして君は歩きつづける。 いつのまにか君は町....
「最終戦争論」より 著者:石原莞爾
がなくなると同じである。早く死ぬから頻繁に子供を産むが、不老不死になると、人間は
淡々として神様に近い生活をするに至るであろう。 また時間というものは結局温度で....
「国際殺人団の崩壊」より 著者:海野十三
室内散歩の歩調をゆるめはしなかった。「気の毒なことじゃのう」博士の声は水のように
淡々として落付いていた。 「先生、昨夜の連中は毒|瓦斯にやられたそうです。症状か....
「金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
どういうことになりますか、今の若ものにはまた考えがありましょうから」 宗十郎は
淡々として、座敷の隅で試験勉強している復一の方を見てそういった。 「いや、金魚は....
「地球要塞」より 著者:海野十三
びなかった。 「……深度、二十九、二十八、二十七」 オルガ姫は、あいかわらず、
淡々たる声で深度を数えている。わが艇は、刻一刻、ぎりぎりと音のする鎖によって海面....
「巴里祭」より 著者:岡本かの子
しかし今度の手紙には新吉に見逃されぬものがあった。それは文面の終いの方に同じ
淡々とした書き方ではあるがこういうことが書いてあった。 わたくし、此頃髪の前鬢を....
「化銀杏」より 著者:泉鏡花
かと思ったわ。」 「(なぜ一所に死ぬとは言ってくれない。愛情というものは、そんな
淡々しいものではない。)ッていうのさ。向うからそう出られちゃあ、こっちで何とも言....
「砂書きの老人」より 著者:上村松園
手からこぼれるのである。あたかもすでに形あるものの上をなぞらえるがごとく、極めて
淡々と無造作に描きわけてゆく。 どのように練習しても、ああはうまくかけるもので....
「高原の太陽」より 著者:岡本かの子
あやさんお酌の仕方がうまいなあ」 「むかし酒飲みの主人を持っておりましたからね」
淡々として人生をも生活をも戯画化して行く。これを江戸趣味とでもいうのであろうか。....
「茶屋知らず物語」より 著者:岡本かの子
渡りくらべて世の中見れば阿波の鳴門に波もなし―― ここの座敷では法眼の錆びて
淡々たる声で唱え出されました。 なむ きえ ぶつ―― なむ きえ ほう―― ....
「冷かされた桃割娘」より 著者:上村松園
ら人気を呼んだものでした。春の円山、三人の桃割娘が赤毛氈に並んで所望される席画を
淡々と描いてる風景など、昔を今になすよしもがなです。竹園さんはその後夭折され、梅....
「活人形」より 著者:泉鏡花
置かぬ、もう一度念のためだが、思い切って応といわないか。「嫌否ですよ。「そうか、
淡々としたものだ。そんならこっちへ来な。好い者を見せてやる。立て、ええ立たないか....