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淡彩
「淡彩〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
淡彩の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
眺《なが》めても、うそ寒い秋の気が動いていないところはない。
馬琴の眼は、この
淡彩の寒山拾得《かんざんじっとく》に落ちると、次第にやさしい潤いを帯びて輝き出し....
「兄たち」より 著者:太宰治
発行し、ご自身は、その表紙の絵をかいたり、また、たまには「苦笑に終る」などという
淡彩の小説を書いて発表したりしていました。夢川利一という筆名だったので、兄や姉た....
「紀行文家の群れ」より 著者:小島烏水
、文章に感傷癖はあったが、淡泊清新、ことに武蔵野あたりの原野や雑木林の寂しさを、
淡彩的に点描するのに巧みであった。武蔵野といえば、ただちに独歩の名作が連想される....
「灰燼十万巻」より 著者:内田魯庵
って僅かに面影を残しておる。見よ、心なき消火夫か泥草鞋もて蹂躙りつゝ行く方三尺の
淡彩図を。嗚呼、是れシラギントワイトの『西蔵探険記』の挿図に非ず哉。五十年前初め....
「自画像」より 著者:寺田寅彦
いうのであった。なるほどそう言われてみると自分のかいた顔は普通の油絵らしくなくて
淡彩の日本画のように白っぽいものである。もっとも鏡が悪いために実際いくぶん顔色が....
「楢重雑筆」より 著者:小出楢重
らず、楽くに仕上げる事が出来ます、手古摺る事が少ないのです。 スケッチした素描
淡彩を、家へ持ち帰えって、その上へ同じ大きさのガラスをのせ、決して位置がくるわな....
「油絵新技法」より 著者:小出楢重
らず、楽くに仕上げる事が出来ます。手古摺る事が少ないのです。 スケッチした素描
淡彩を、家へ持ち帰えって、その上へ同じ大きさのガラスをのせ、決して位置がくるわな....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
物の群に来た、美しい女に対して興奮したものらしい。 実際、雲の青い山の奥から、
淡彩の友染とも見える、名も知れない一輪の花が、細谷川を里近く流れ出でて、淵の藍に....
「縷紅新草」より 著者:泉鏡花
息も、どきどきしながら。 ゆかただか、羅だか、女郎花、桔梗、萩、それとも薄か、
淡彩色の燈籠より、美しく寂しかろう、白露に雫をしそうな、その女の姿に供える気です....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
てよく、細にしてよく、山水がよく、花鳥がよく、人物がよく、濃絵《だみえ》がよく、
淡彩がよく、点がよく、劃がよい――ことにその線の勁健《けいけん》にして、和順なる....
「落ちてゆく世界」より 著者:久坂葉子
すり、あけてはすりました。そうです。松の絵にこっておられた時でした。最近は小さい
淡彩の絵ばかりでした。 ある日―― それはよく晴れた静かな午後でした。父はお....
「久保田万太郎氏」より 著者:芥川竜之介
も柔かなるが如し。のみならず作中の風景さえ、久保田君の筆に上るものは常に瀟洒たる
淡彩画なり。更に又久保田君の生活を見れば、――僕は久保田君の生活を知ること、最も....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
る。築城の素養があるといって、それが自慢の一つであった。 各藩の城廓の平面図に
淡彩を施したのが、何十枚となく一綴りにしてあった。これが恐らく父の丹精によって集....
「画筆に生きる五十年」より 著者:上村松園
叡覧に供しました。御前揮毫は、いずれも御前で短時間で描きますので、即興的に、色も
淡彩でほどこし、そのまま献上いたすわけでございます。 最初の御前揮毫の節に、当....
「江戸芸術論」より 著者:永井荷風
背景を有しここに渾然《こんぜん》たる一面の絵画をなす、然らざれば地色《じいろ》の
淡彩によりてよく温柔なる美妙の感情を誘《いざな》へり。然るに此《かく》の如きは全....