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「淫婦〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

淫婦の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
らぬ無邪気な目とも見えた。先天的に男というものを知りぬいてその心を試みようとする淫婦《いんぷ》の目とも見られない事はなかった。それほどその目は奇怪な無表情の表情....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
て物置き小屋に閉じこめたのは、早くも事露見と知ったものでしたから、持って生まれた淫婦《いんぷ》の腕によりをかけてかようにたぶらかし、そのまに少年を引き具していち....
時代閉塞の現状」より 著者:石川啄木
する見込のない一般経済界の状態は何を語るか。財産とともに道徳心をも失った貧民と売淫婦《ばいいんふ》との急激なる増加は何を語るか。はたまた今日|我邦《わがくに》に....
旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
、そこじゃて。夫、婦女子は慎しみあるを以て尊しとす。女、淫に走って自ら挑むは即ち淫婦なり、共に天を戴かずとな、女庭訓にも教えてあることじゃ。さればこそ、あれなる....
愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
の器量である。しかし器量の小なるものはこの教えを生かすことはできない。サマリアの淫婦に話しかけた耶蘇には、彼女を説服して神の国の民となす力があった。しかし私は一....
不思議なる空間断層」より 著者:海野十三
いうような声をあげて、何も知らない二人は戯れ合う。 「ち、畜生!」 憎い女だ、淫婦め! ちらと鏡の中に、自分の顔を盗みみると、歯を剥きだして下唇をぐっと噛み....
油絵新技法」より 著者:小出楢重
させられる訳である。後に到ってその男が各人の玄関へ立ち現れたと聞くに及んで私達は淫婦にだまされたよりも尚お更らの不愉快を感じる事屡々である。それらの人種を私達は....
鴉片を喫む美少年」より 著者:国枝史郎
を穿いて、懐中に短刀――鎧通さ、兼定鍛えの業物だ、そいつを呑んで轎に乗った。 (淫婦どもめ、思い知るがいい!) こういう心持を持ちながら、轎に乗ったというもの....
娘煙術師」より 著者:国枝史郎
ろまでひるがえして、こう口説き立てたお粂のようすは、毒婦とも見れば妖婦とも見え、淫婦にさえも見えるのであった。 しかるにそういうお粂と対して、向かい合って腰を....
たぬき汁」より 著者:佐藤垢石
を紛失して、ほんとうに幸運であったと思った。 五 狐は、事物異名考に淫婦紫姑が化けた獣であると書いてあるから人間の食いものにはなるまいが、同じ妖術を....
八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
馬琴だけは除外例になって感服されてるが、いずくんぞ知らん馬琴は忠臣孝子よりは悪漢淫婦を描くにヨリ以上の老熟を示しておる。『美少年録』が(未完成ではあるが)代表作....
偽刑事」より 著者:川田功
消そうとした。 「此女は外に恋して居る男があるんだ」 「否、此女は見掛けによらぬ淫婦なんだ。悪党なんだ」 こんな風に考えて見ても、此婦人|丈けには其どれもが当....
江戸芸術論」より 著者:永井荷風
que tu peins. フランドルの美術よ、汝《なんじ》こそはよく彼《か》の淫婦《いんぷ》を知りたれ。よくかの乳房《ちぶさ》赤く肉|逞《たくま》しき淫婦を愛....
空中征服」より 著者:賀川豊彦
亜鉛張りの屋根、瓦の砂漠、――そして疲れた職工――その肉欲を充たすための娼妓と売淫婦、すべてが倦怠ですべてが革命的神経衰弱に患っている。 今日のような堕落した....
悪僧」より 著者:田中貢太郎
殺されることになり、私の怨みも報いられましたが、私の両親はまだ何も知らずに、彼の淫婦に欺かれておりますから、どうか私の父に逢って、まず私の死骸を改葬したうえで、....