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深々
「深々〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
深々の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
いた。しかし彼女はそれを聞くと、もう欲にも我慢がしきれなくなった。そして右の手を
深々《ふかぶか》と帯の間にさし込んだまま立ち上がりざま、
「汽車に酔ったんでしょ....
「或る女」より 著者:有島武郎
古藤はそれには答えもせずに、五|分《ぶ》刈りの地蔵頭《じぞうあたま》をうなだれて
深々《ふかぶか》とため息をした。
「僕はあなたを信じきる事ができればどれほど幸い....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
んと汀に近寄って行く。海産物会社の印袢天を着たり、犬の皮か何かを裏につけた外套を
深々と羽織ったりした男たちが、右往左往に走りまわるそのあたりを目がけて、君の兄上....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
の山は平野から暗い空に崛起しておごそかにこっちを見つめていた。淋しい花嫁は頭巾で
深々と顔を隠した二人の男に守られながら、すがりつくようにエホバに祈祷を捧げつつ、....
「星座」より 著者:有島武郎
か」
「僕も心配に思っています」
この時園とおぬいさんとは生れて始めてのように
深々と顔を見合わせた。二人は明かに一人の不幸な友の身の上を案じ合っているのを同情....
「一房の葡萄」より 著者:有島武郎
な声で仰《おっしゃ》いました。僕は返したことをしっかり先生に知ってもらいたいので
深々と頷《うなず》いて見せました。
「あなたは自分のしたことをいやなことだったと....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
た気を収めず、まだほのぼのと揺ぐのが、渚を籠めて蒸すのである。 漁家二三。――
深々と苫屋を伏せて、屋根より高く口を開けたり、家より大きく底を見せたり、ころりこ....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
、まだ、その上を四つ五つで、やがて七十なるべし。臘虎皮の鍔なし古帽子を、白い眉尖
深々と被って、鼠の羅紗の道行着た、股引を太く白足袋の雪駄穿。色|褪せた鬱金の風呂....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
抜かれたのが、頼みに思った豪傑は負傷するし、今の話でまた変な気になる時分が、夜も
深々と更けたでしょう。 どんな事で、どこから抛り投げまいものでもない。何か、対....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
である。名にし負う神通二百八間の橋を、真中頃から吹断って、隣国の方へ山道をかけて
深々と包んだ朝靄は、高く揚って旭を遮り、低く垂れて水を隠した。色も一様の東雲に、....
「高野聖」より 著者:泉鏡花
しょうご》と覚しい極熱《ごくねつ》の太陽の色も白いほどに冴《さ》え返った光線を、
深々と戴《いただ》いた一重《ひとえ》の檜笠《ひのきがさ》に凌《しの》いで、こう図....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
は寝ねたまわず。 しばし音なければ、彼方に立てる小親の方を視返りたり。 頭巾
深々と被れるが、駒下駄のさきもて、地の上叩いて、せわしく低き音刻みながら、手をあ....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
なお沸立った酒で、幾度もその冷込んだ手を洗わせ、やがて、ご新姐の手ずから、絹衾を
深々と被せられると、心も宙に浮いて、やすらかにぐっすり寝た。目がさめると、雨は降....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
の間に帆の影が浮かび、これぞ台湾に近しと知った。ふり仰いで山の端を望めば、白雲が
深々とかくしていた。) 午後、シャンハイとホンコンとの間を往復する汽船二隻に会....
「北斗帖」より 著者:違星北斗
イヌ絵を描く淋しい心 天地に伸びよ 栄えよ 誠もて アイヌの為めに気を挙げんかな
深々と更け行く夜半は我はしも ウタリー思いて泣いてありけり ウタ....