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深く
「深く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
深くの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
四
柘榴口の中は、夕方のようにうす暗い。それに湯気が、霧よりも
深くこめている。眼の悪い馬琴は、その中にいる人々の間を、あぶなそうに押しわけなが....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
たように答えました。その時はこう云う彼の言《ことば》も、単に一場の口頭語として、
深く気にも止めませんでしたが、今になって思い合わすと、実はもうその言《ことば》の....
「河童」より 著者:芥川竜之介
かしその霧はいつまでたっても晴れる景色《けしき》は見えません。のみならずかえって
深くなるのです。僕は一時間ばかり歩いた後《のち》、一度は上高地の温泉宿へ引き返す....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
つが》なく松山の城下へはいった。
松山に渡った一行は、毎日|編笠《あみがさ》を
深くして、敵の行方《ゆくえ》を探して歩いた。しかし兵衛も用心が厳しいと見えて、容....
「袈裟と盛遠」より 著者:芥川竜之介
志を誘《さそ》って、邪道へ陥れたとでも解釈するよりほかはない。とにかく、己は執念
深く、何度も同じ事を繰返して、袈裟の耳に囁いた。
すると袈裟はしばらくして、急....
「黒衣聖母」より 著者:芥川竜之介
願いをかけ奉る。……御身の憐みの御眼《おんめ》をわれらに廻《めぐ》らせ給え。……
深く御柔軟《ごじゅうなん》、
深く御哀憐、すぐれて甘《うまし》くまします「びるぜん....
「首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
い蒼空《あおぞら》を見上げた覚えがある。その空は、彼が今まで見たどの空よりも、奥
深く蒼く見えた。丁度大きな藍《あい》の瓶《かめ》をさかさまにして、それを下から覗....
「おぎん」より 著者:芥川竜之介
尊《ゆいがどくそん》」と獅子吼《ししく》した事などは信じていない。その代りに、「
深く御柔軟《ごにゅうなん》、
深く御哀憐《ごあいれん》、勝《すぐ》れて甘《うまし》....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
も、認《したた》めていたものであろう。――内蔵助も、眦《まなじり》の皺《しわ》を
深くして、笑いながら、
「何か面白い話でもありましたか。」
「いえ。不相変《あい....
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
はつんと尖った鼻の先へ、鉄縁《てつぶち》の鼻眼鏡をかけたので、殊にそう云う感じを
深くさせた。着ているのは黒の背広であるが、遠方から一見した所でも、決して上等な洋....
「ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
、同じ信仰、同じ倦怠のうえを、明けても暮れてもただぐるぐると――。 今夜は霧が
深くたち籠めている。霧は並木路をつつんでしまって、鈍い光をはなっている瓦斯灯が燻....
「初雪」より 著者:秋田滋
* * * 病気ははかばかしく快方に向わなかった。
深く侵された両の肺は、どうやら彼女の生命を脅かすようになって来た。 「このままこ....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
す。こうして世の中を走り廻るにつけて、私はおん身と共に暮すことの幸福を、いよいよ
深く感ずるばかりである。」 ファラデーは諸方からもらった名誉の書類が挟んである....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
しはこの平和な場所にあらゆる讃美の言葉をおしまない。それは、大ニューヨーク州の奥
深く、あちらこちらにあるオランダ人の住む辺鄙な渓谷のなかにあり、ここでは人口も風....
「狂人日記」より 著者:秋田滋
締めた。力一杯締めつけた。子供は怖い眼で私を睨んだ。何という眼だろう。まん円で、
深く、澄んでいて、私はぞッとした。私は今日が今日まで、この時ほど残忍な感動を経験....