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深み
「深み〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
深みの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
。月はなおさら目にはいらなかった。ただ見たのは、限りない夜である。夜に似た愛憎の
深みである。太郎は、狂気のごとく、弟の名を口外に投げると、身をのけざまに翻して、....
「河童」より 著者:芥川竜之介
ごころ》のよかったためです。のみならずまたゲエルの話は哲学者のマッグの話のように
深みを持っていなかったにせよ、僕には全然新しい世界を、――広い世界をのぞかせまし....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
。が、今度はとうとう飛び損じて、凄《すさま》じい水煙を立てながら、まっさかさまに
深みへ落ちこんでしまった。
彼の河へ落ちた所は、ほかの若者たちがいる所と大して....
「或る女」より 著者:有島武郎
微笑には、さっきの微笑の愚かしさが潜んでいないのを信ずる事ができた。葉子の性格の
深みからわき出るおそろしい自然さがまとまった姿を現わし始めた。
「何御用でいらっ....
「或る女」より 著者:有島武郎
い出さなければならないという殊勝な心にもなった。しかし最後に落ち着いたのは、その
深みに倉地をことさら突き落としてみたい悪魔的な誘惑だった。それほどまでの葉子に対....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
を打振い打振い雪の中をこいだ。
国道に出ると雪道がついていた。踏み堅められない
深みに落ちないように仁右衛門は先きに立って瀬踏みをしながら歩いた。大きな荷を背負....
「二つの道」より 著者:有島武郎
い彗星《すいせい》の行方《ゆくえ》のような己れの行路に慟哭《どうこく》する迷いの
深みに落ちていくのである。
四
二つの道は人の歩むに任せてある。右を行くも....
「星座」より 著者:有島武郎
ぎせい》にしても、微笑していられるだけの熱情を持て。その熱情を誰にも見えない胸の
深みに静かに抱いていろ。おぬいさんを愛するのを止めろというのではない。貴様の愛し....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
とじりじり深まって行こうとした。重錘をかけて深い井戸に投げ込まれた灯明のように、
深みに行くほど、君の心は光を増しながら、感じを強めながら、最後には死というその冷....
「顔の美について」より 著者:伊丹万作
二重まぶたは精神的な陰翳が感じられなく甘いばかりで無味乾燥なものである。東洋的な
深みや味は一重まぶたもしくははつきりしない二重まぶたにあり、長く眺めて飽きないの....
「隣の嫁」より 著者:伊藤左千夫
は元へ戻り、愚にもつかぬ事をぐるぐる考えめぐっていたのだ。泳ぎを知らない人が水の
深みへはいったように、省作は今はどうにもこうにも動きがとれない。つまりおとよさん....
「転機」より 著者:伊藤野枝
切ったことにいつまでも取りついているのは愚だよ。いわば自分自身であがきのとれない
深みにはいったようなもんじゃないか。」 「そんなことが解れば苦労はしませんよ。そ....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
と、月の良い晩でした。 胴の間で着物を脱がして、膚の紐へなわを付けて、倒に海の
深みへ沈めます。ずんずんずんと沈んでな、もう奈落かと思う時、釣瓶のようにきりきり....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
霊の犠牲になった人間は、勿論ただ堕落の一路を辿り、一歩一歩、ぬきさしならぬ泥濘の
深みにはまり込んで行く。その間彼のあわれなる妻子は、飢えたる腹をかかへて、言い知....
「おびとき」より 著者:犬田卯
の人はよくいったもんだ」と呟きながら彼は沼へ下りて行った。 二 沼の
深みへはまり込んでしまって腰から下が氷に張りつめられ、脚を動かして泥から出ようと....