»
深味
「深味〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
深味の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「溺れかけた兄妹」より 著者:有島武郎
《せの》びをしなければならないほどでした。それがまた面白そうなので私たちも段々|
深味《ふかみ》に進んでゆきました。そして私たちはとうとう波のない時には腰位まで水....
「成長が生んだ私の恋愛破綻」より 著者:伊藤野枝
。彼のエゴイスティックな傾向は、極端な個人主義の理屈といっしょになってだんだんに
深味にはいってきたのです。 私もやはりその思想に育てられたのです。私の属してい....
「転機」より 著者:伊藤野枝
仕事を本当にきめて勉強しようと思った。私はあんまり若くて、あがきのとれない生活の
深味にはいったことを、本当に後悔していた。 けれど、事は計画どおりにすらすらと....
「死の快走船」より 著者:大阪圭吉
の辺へ着けよう」 東屋氏の言葉に従って重心板が海の底へ触れないように、なるべく
深味のところを選んで私は船を着けた。 恰度私達が、しっとりした岸の上へ降り立っ....
「かの女の朝」より 著者:岡本かの子
、その建築物の写真の載った写真帖など見並べると、驚く程、其の写真の方が、線の影や
深味が、精巧な怜悧な写術によって附加されている。その写真帖を、そのまま、日本へ持....
「狐」より 著者:岡本かの子
いやりながら、見物しよう。 ――ばかばかしい。それこそわざと狐に化かされることの
深味へ嵌めて呉れと注文するようなものだ。気がついて見れば、あしたの朝は小川の行水....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
の顔に冷たくあらわれるものとまったく同じ感じだ。その容貌は自然そのもののごとくに
深味をもっているが、自然の持つ愛の暖か味はない。ジョヴァンニ君。君はきっとラッパ....
「死児を産む」より 著者:葛西善蔵
れば、出て行かなければ――それが第一の問題なのだが、ところがどうだ?……ますます
深味に落ちて行くばかりではないか? 「蠢くもの」以前、またその後の生活だって、け....
「味覚の美と芸術の美」より 著者:北大路魯山人
手でも容易にできるような、玩具のような花であり、日本の花は深い美を蔵し、含蓄ある
深味をもっているので、これを模造することは容易でないわけだ。 さらに食料品にお....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
田家にとっては栄華の絶頂、士気の盛んな時代であった。 「庄三郎」 と、信玄は、
深味のある声でふと呼んだ。 「はっ」と云って手を仕える。 「そなたの父を思い出す....
「南蛮秘話森右近丸」より 著者:国枝史郎
しい弁才坊だろうか? どうもそうとは思われない。深い智識を貯えたような、聡明で
深味のあるその眼付、高貴の血統を暗示するような真直ぐで、正しい高い鼻、錠を下ろし....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
の淋しい海の面に夢のように落ちる極光のような神秘な色さえ帯びている。色調でいわば
深味のある青である。天も焦げよと燃えあがる※の紅ではなく、淋しい不可思議な花の咲....
「めでたき風景」より 著者:小出楢重
しかし私は酒による恍惚境とその色彩と、その雰囲気と、その匂いと、その複雑にして
深味ある味は何物にも求め得ない宝玉の水だと思っている。私は常にそれをちょっとなめ....
「北村透谷の短き一生」より 著者:島崎藤村
ったような風に見えたが、その残して置いた反古なぞを見ると、透谷集の中にある面白い
深味のあるものが、皆ずっと以前の幼稚なものから、出発して来ていることが解った。そ....
「新生」より 著者:島崎藤村
苦しい争いを思出したかった。
岸本の眼前《めのまえ》には、石灰と粘土とで明るく
深味のある淡黄色に塗り変えた、堅牢《けんろう》で簡素な感じのする壁があった。彼は....