深夜[語句情報] » 深夜

「深夜〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

深夜の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
偸盗」より 著者:芥川竜之介
見る間に彼を、その生きて動く、なまぐさい毛皮の渦巻《うずま》きの中へ巻きこんだ。深夜、この小路に、こうまで犬の集まっていたのは、もとよりいつもある事ではない。次....
奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
立てた。のみならずしまいにはその襖《ふすま》へ、がりがり前足の爪をかけた。牧野は深夜のランプの光に、妙な苦笑《くしょう》を浮べながら、とうとうお蓮へ声をかけた。....
点鬼簿」より 著者:芥川竜之介
は割り合にはっきりと残っている。 危篤の電報でも来た為であろう。僕は或風のない深夜、僕の養母と人力車に乗り、本所から芝まで駈《か》けつけて行った。僕はまだ今日....
小さき者へ」より 著者:有島武郎
のだ。――その時も私は心なく笑ってしまった。然し、今はそれも笑ってはいられない。深夜の沈黙は私を厳粛にする。私の前には机を隔ててお前たちの母上が坐っているように....
義血侠血」より 著者:泉鏡花
馭者は愕然《がくぜん》として顧みれば、わが肩に見覚えぬ毛布《ケット》ありて、深夜の寒を護《まも》れり。 「や、毛布を着せてくだすったのは! あなた? でござ....
浜菊」より 著者:伊藤左千夫
り、行止りから左へ三尺|許《ばか》りの渡板を渡って、庭の片隅な離れの座敷へくる。深夜では何も判らんけれど、昨年一昨年と二度ともここへ置かれたのだから、来て見ると....
水害雑録」より 著者:伊藤左千夫
道々考えるともなく、自分の今日の奮闘はわれながら意想外であったと思うにつけ、深夜十二時あえて見る人もないが、わがこの容態はどうだ。腐った下の帯に乳鑵二箇を負....
婦系図」より 著者:泉鏡花
誘出し得たのであった。従って、第四の令妹の事はもとより、毒薬の根も葉もないのを、深夜|蛾が燈に斃ちたのを見て、思い着いて、我が同類の万太と謀って、渠をして調えし....
吉原新話」より 著者:泉鏡花
、海老屋の大時計の面が、時間の筋を畝らして、幽な稲妻に閃めき出るのみ。二階で便る深夜の光は、瓦斯を合わせて、ただその三つの灯となる。 中のどれかが、折々|気紛....
鷭狩」より 著者:泉鏡花
階子段に足踏して、 「鷭だよ、鷭だよ、お次の鷭だよ、晩の鷭だよ、月の鷭だよ、深夜の鷭だよ、トンと打つけてトントントンとサ、おっとそいつは水鶏だ、水鶏だ、トン....
化銀杏」より 著者:泉鏡花
、どう見ても幽霊のようじゃ、行燈が暗いせいだろう。な。」 「はい。」 お貞は、深夜幽霊の名を聞きて、ちりけもとより寒さを感じつ。身震いしながら、少しく居寄りて....
黒百合」より 著者:泉鏡花
たのを、頑として肯かなかった指環なのである。 その時、奥山で餞した時、時ならぬ深夜の人影を吠える黒犬があった。滝さんちょいとつかまえて御覧とお兼がいうから、も....
スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
ろでは、ある夜、近くのシンシンという村から帰ってくるとき、彼に追いついたのがこの深夜の騎兵だった。そこで、彼は相手に競走を申し入れ、ポンチ酒を一鉢|賭けた。当然....
遠野の奇聞」より 著者:泉鏡花
かげて、内を覗う者を見たり。髪を長く二つに分けて垂れたる女なり。このあたりにても深夜に女の叫声を聞くことは、珍しからず。 佐々木氏の祖父の弟、白望に茸を採りに行....
私の履歴書」より 著者:浅沼稲次郎
なかった。学生時代から江戸川の土手や三宅島の海岸で怒濤を相手にし、あるいは寒中、深夜、野原に出て寒げいこを行い、また謡曲がよいというので観世流を習ったりして声を....