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淳朴
「淳朴〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
淳朴の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「「いき」の構造」より 著者:九鬼周造
な》めて鍛えられた心がいつわりやすい目的に目をくれなくなるのである。異性に対する
淳朴《じゅんぼく》な信頼を失ってさっぱりと諦《あきら》むる心は決して無代価で生れ....
「坊っちゃん」より 著者:夏目漱石
で、当地に比べたら物質上の不便はあるだろう。が、聞くところによれば風俗のすこぶる
淳朴《じゅんぼく》な所で、職員生徒ことごとく上代樸直《じょうだいぼくちょく》の気....
「不審庵」より 著者:太宰治
して豪奢を誇るの顰に傚わず、閑雅の草庵に席を設けて巧みに新古精粗の器物を交置し、
淳朴を旨とし清潔を貴び能く礼譲の道を修め、主客応酬の式|頗る簡易にしてしかもなお....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
蒲生泰軒の職業のようになってしまったが、むろん代金をとるわけではない。 だが。
淳朴《じゅんぼく》な長屋の人達は、先生に御厄介をかけているというので、芋が煮えた....
「社会時評」より 著者:戸坂潤
全く、資本主義医学に於ける投資現象の一つに外ならないのだが、夫がこうした尚武的で
淳朴な封建的デリカシーを以て蔽われているから、益々甘い商売なのだ。ただ長崎医大の....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
と唱え出す者もある。 いったい、芝居だとか、写し絵だとかいうものを見せるのは、
淳朴《じゅんぼく》なる気風を害するものだから、今後一切あんなものは松本の市中へ足....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
の情緒をこそ、彼は言い現わしたかった。第一の曲は、恋し合った若い夫妻の落ち着いた
淳朴《じゅんぼく》な幸福を、そのやさしい愛欲や、その未来にたいする信頼などを、表....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
その頃の人の考えでは、結婚というものはごく打ち解けた公《おおやけ》の祝いであり、
淳朴《じゅんぼく》な祝宴は家庭の尊厳を汚するものではなく、たといそのにぎわいは度....
「続堕落論」より 著者:坂口安吾
対する不信、疑ぐり深い魂だけで、損得の執拗な計算が発達しているだけである。農村は
淳朴だという奇妙な言葉が無反省に使用せられてきたものだが、元来農村はその成立の始....
「夜汽車」より 著者:牧逸馬
勝で、フリント君は大っぴらに欠伸をした。気の置けない小都会の世話役らしいこの男の
淳朴《じゅんぼく》さがフリント君の気に入った。 「ここが空いてるじゃねえか」 ....
「土の中からの話」より 著者:坂口安吾
村を愛しているのが普通で、自分自身農村自身の悪に就ては生来の色盲で、そして農村は
淳朴だなどと云って、疑ることなどは金輪際ない。 奈良朝の昔から農村の排他思想と....
「安吾人生案内」より 著者:坂口安吾
日本の農村はひどいねえ。百姓ぐらい我利我利亡者で狡猾な詭弁家はいないよ。農村は
淳朴だの、その
淳朴な百姓こそは真の愛国家で、それ故に天皇を愛しているなどというの....
「夫人利生記」より 著者:泉鏡花
ざりますが、喜撰法師のように見えます処が、業の至りませぬ、不束ゆえで。」 と、
淳朴な仏師が、やや吶って口重く、まじりと言う。 しかしこれは、工人の器量を試み....
「国栖の名義」より 著者:喜田貞吉
朝して醴酒を献じた。日本紀には正に「来朝」という文字を使っている。彼らは人となり
淳朴で、常に山菓を取って喰う。また蝦蟆を煮て上味とする。その土は京(応神天皇の都....
「審判」より 著者:カフカフランツ
いたのです。ところがそれはほんの少しでも成功しませんでした。私の部屋主はまったく
淳朴な人で――私はここで彼女の名前を尊敬をこめて申上げておきますが、彼女はグルゥ....