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「添える〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

添えるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
偸盗」より 著者:芥川竜之介
に、花も葉もひからびた、合歓《ねむ》を一枝立てたのは、おおかた高坏《たかつき》へ添える色紙《しきし》の、心葉《こころば》をまねたものであろう。 それを見ると、....
」より 著者:芥川竜之介
い。未《いまだ》に降り止まない雨の音さえ、ここでは一層その沈黙に、単調な気もちを添えるだけである。 「あなた。」 そう云う何分《なんぷん》かが過ぎ去った後《の....
邪宗門」より 著者:芥川竜之介
ぎの音が間近く聞えて、卯《う》の花の白く仄《ほのめ》くのも一段と風情《ふぜい》を添える所じゃ。もっともこれはその方づれに、望む予の方が、無理かも知れぬ。ついては....
神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
はこの庭の静寂に、何か日本《にほん》とは思われない、不可思議な魅力《みりょく》を添えるようだった。 オルガンティノは寂しそうに、砂の赤い小径《こみち》を歩きな....
秋山図」より 著者:芥川竜之介
よ》いのです。ご家蔵《かぞう》の諸宝《しょほう》もこの後《のち》は、一段と光彩を添えることでしょう」 しかし王氏はこの言葉を聞いても、やはり顔の憂色《ゆうしょ....
妖婆」より 著者:芥川竜之介
》と話している内に、神鳴りに打たれて死んでしまった。」と、いつもよりも快活に云い添えるのです。新蔵はこの意外な吉報を聞くと同時に、喜びとも悲しみとも名状し難い、....
或る女」より 著者:有島武郎
て来ていた。それが葉子の目にたとえば森林に囲まれた澄んだ湖のような深みと神秘とを添えるようにも見えた。鼻筋はやせ細って精神的な敏感さをきわ立たしていた。頬《ほお....
星座」より 著者:有島武郎
ころで詐欺師《さぎし》のそれと一致するものだが――の眼尻に、この人に意外な愛嬌を添える小皺ができはじめた。それは自分の意見に他人を牽《ひ》き寄せようとする時には....
浜菊」より 著者:伊藤左千夫
ないのだろうよ」 腹の奥底に燃えて居った不平が、吾れ知らず気※《きえん》に風を添えるから、意外に云い過した。余りに無遠慮な予の詞《ことば》に、岡村は呆気《あっ....
天守物語」より 著者:泉鏡花
勝手。(扇子を落す。) 夫人 やっぱりお可愛い。(その背を抱き、見返して、姫に附添える女童に)どれ、お見せ。(手鞠を取る)まあ、綺麗な、私にも持って来て下されば....
栃の実」より 著者:泉鏡花
木でゃ。皆|五抱え、七抱えじゃ。」「森々としたもんでがんしょうが。」と後棒が言を添える。「いかな日にも、はあ、真夏の炎天にも、この森で一度雨の降らぬ事はねえので....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
では不可えや、前垂を貸しとくれよ。誰か、」 「後生だってば、」 と青月代も口を添える。 子守の娘はまた退った。 幼い達は妙にてれて、舞台の前で、土をいじッ....
明日」より 著者:井上紅梅
の眼を擦りながら後ろから跟いて来た。こういう時に天将の一人が降臨して一|臂の力を添える事が、彼女の希望であったのだろうが、今頼みもしないで出て来たのがこの阿五将....
多神教」より 著者:泉鏡花
然として伊達巻のまま袖を合せ、裾をずらし、打うなだれつつ、村人らに囲まれ出づ。引添える禰宜の手に、獣の毛皮にて、男枕の如くしたる包一つ、怪き紐にてかがりたるを不....
春昼後刻」より 著者:泉鏡花
を握れば、くぼみもせず、高くもならず、他愛なくほろほろと崩れると、また傍からもり添える。水を掴むようなもので、捜ればはらはらとただ貝が出る。 渚には敷満ちたが....