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「清げ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

清げの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
は若い柳の葉よりも細く優しくみえた。彼女の眼は慈悲深い観音のそれよりもやわらかく清げに見えた。その尊げな顔、その優しげなかたち、これが果たして人間の胤《たね》で....
野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
豊かな頬の白く鮮かな、顎《あご》のくくしめの愛らしさ、頸《くび》のあたり如何にも清げなる、藤色の半襟《はんえり》や花染の襷《たすき》や、それらが悉《ことごと》く....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
これらの人たちが諸藩からの列席者を持ち合わす間に、順に一人ずつ寺僧に案内されて、清げな白足袋で広間の畳を踏んで来る家老たちもある。 その日、十四日は薩州藩から....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
見て回ると、高さ一丈ばかりの木札に行在所と記したのが門前に建ててあり、青竹の垣も清げにめぐらしてある。 家内一同朝の食事を済ますころには、もう御用掛りの人たち....
十二支考」より 著者:南方熊楠
、人がわざと引き寄するようにその島に船寄る、島に上りて見廻すほどに二十余歳らしい清げな男来て汝たちを我が迎え寄せたるを知らずや、風は我が吹かしたのだといって微妙....
神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
墓地近くを通りかかり候折から、天地|晦冥、雹の降ること凄まじく、且は電光の中に、清げなる婦人一|人、同所、鳥博士の新墓の前に彳み候が、冷く莞爾といたし候とともに....
小景」より 著者:宮本百合子
。 彼女は露西亜人だ。それも小露西亜の農民らしくがっしり小肥りな婦人ではなく、清げに瘠せた体に、蒼白い神経質な顔、同じように鋭い指。それに写真画帖のようなもの....
粗末な花束」より 著者:宮本百合子
直な少女の喉元を塞げるのだ。彼女は矢張り下手な売り手であった。そして、下手さは、清げなおかッぱや、或る品のあるきりっとした容貌と決して不釣合ではない! 私は、却....
日記」より 著者:宮本百合子
十三四人も〔五字伏字〕いたから誰も〔十七字伏字〕。高いところの金網ばりの窓に朝の清げな光があるが、其〔三字伏字〕の内は〔七字伏字〕人いきれと影とでどす暗く澱んで....
マダム貞奴」より 著者:長谷川時雨
結を組んできた一行のものは、その死者の姿を見ると、いかにも安易《やすやす》として清げなさまで、昨日までの陋苦《むさくる》しい有様とはあまり違って、立勝《たちまさ....
貞操問答」より 著者:菊池寛
中背、やや整いすぎて気むずかしそうに見える顔立ちではあったが、眼が向き合えば、心清げに笑いかけるのが、少女達にとって一つの魅力らしかった。とにかく、少女達の注意....
良夜」より 著者:饗庭篁村
に居心落付かず、見じと思えど四方の見らるるに、葛布にて張りたる襖しとやかに明きて清げなる小女茶を運び出でたり。忝けなしと斜に敷きたる座蒲団よりすべりてその茶碗を....
魔都」より 著者:久生十蘭
佇んでおりますると、意外々々、やがて定刻とはなりますれば、あの青銅の鶴は、世にも清げなる声音にて、朗々と詠誦いたしたのでありました。ああ、なんたる不思議、なんた....
河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
褄に、欠盥で洗濯をしている、束ね髪で、窶々しいが、(その姿のゆうにやさしく、色の清げに美しさは、古井戸を且つ蔽いし卯の花の雪をも欺きぬ。……類なき艶色、前の日七....
ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
わたしは知っています。 まあ、少し調べて見なくては。(退場。) 小さき清げなる室。 マルガレエテ辮髪を編み結びなどしつゝ。 マルガレエテ き....