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済ます
「済ます〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
済ますの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
つかずにいた自分を鏡で見せつけられたような不快を感ぜずにはいられなかった。夕食を
済ますと葉子はいつでも不満と失望とでいらいらしながら夜を迎えねばならなかった。木....
「或る女」より 著者:有島武郎
てある六畳の間《ま》へと案内した。
そこにすわってひととおりの挨拶を言葉少なに
済ますと、女将は葉子の心を知り抜いているように、女中を連れて階下に降りて行ってし....
「国貞えがく」より 著者:泉鏡花
れ物でもしたように思うであろう。……先祖代々の墓詣《はかまいり》は昨日《きのう》
済ますし、久しぶりで見たかった公園もその帰りに廻る。約束の会は明日《あした》だし....
「野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
もそう言ったのに気がついて座敷へ上った。茶や御飯やと出されたけれども真似ばかりで
済ます。その内に人々皆奥へ集りお祖母さんが話し出した。 「政夫さん、民子の事につ....
「二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
うに座敷の、縁が涼しく、油蝉の中に閑寂に見えた。私はちょっと其処へ掛けて、会釈で
済ますつもりだったが、古畳で暑くるしい、せめてのおもてなしと、竹のずんど切の花活....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
め先の応接室を内側からロックして、安楽椅子の上で睡る。それから夕刻帰宅して食事を
済ますと、二時間ばかり毛布にくるまってゴロリと寝る。最後は、深夜の散歩から帰って....
「ゴールデン・バット事件」より 著者:海野十三
いて、帆村に感謝したのだった。帆村は私を促して、別室へ移った。これは係官の調べを
済ます間、邪魔をしないためだった。 同じような部屋割りの隣室だった、椅子もない....
「死の快走船」より 著者:大阪圭吉
白の三つ揃いを着て、どことなく洒脱な風貌の持主だった。 形ばかりの簡単な挨拶を
済ますと、私は早速夫人へ、前の続きを切り出した。 「失礼ですが、只今こちらの御家....
「あやつり裁判」より 著者:大阪圭吉
お詣りする習慣だったんですが、恰度その事件のあった日も例によって観音様のお詣りを
済ますと、帰り途でふと横網町の震災記念堂をお詣りする気になり、それに時間を見れば....
「今昔ばなし抱合兵団」より 著者:海野十三
を解決し、三年前にこの輝かしき極楽地下街の完成を見たわけである。 私は、食事を
済ますと、すぐさま圧搾空気軌道の管の中に入り、三分四十五秒ののちには、記念祝賀会....
「灯明之巻」より 著者:泉鏡花
から、「俳」を「杯」に改めた。が、一盞献ずるほどの、余裕も働きもないから、手酌で
済ます、凡杯である。 それにしても、今時、奥の細道のあとを辿って、松島見物は、....
「燕と王子」より 著者:有島武郎
いてその晩は身になる御飯をいたしたのみでなく、長くとどこおっていたお寺のお布施も
済ます事ができまして、涙を流して喜んだのであります。燕も何かたいへんよい事をした....
「石塀幽霊」より 著者:大阪圭吉
しょうにもどかしく、矢も楯も堪え切れなくなった雄太郎君は、やがて日が暮れて夕食を
済ますとそそくさと飛び出して行った。 青山喬介は安楽椅子に腰かけて雄太郎君を待....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
やウェーファーに比すべき軽焼だけが無害として許された。殊に軽焼という名が病を軽く
済ますという縁喜から喜ばれて、何時からとなく疱瘡痲疹の病人の間食や見舞物は軽焼に....
「三十年前の島田沼南」より 著者:内田魯庵
の二、三度も、待たされるのがイツモ三十分以上で、漸く対座して十分かソコラで用談を
済ますと直ぐ定って、「ドウゾ復たお閑の時御ユックリとお遊びにいらしって下さい」と....