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渋い
「渋い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
渋いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
見守った。その青年の単純な明《あか》らさまな心に、自分の笑顔《えがお》の奥の苦い
渋い色が見抜かれはしないかと、葉子は思わずたじろいだほどだった。
「なんにも考え....
「或る女」より 著者:有島武郎
いってほこりにまみれた両手をひろげ襟頸《えりくび》を抜き出すように延ばして見せて
渋い顔をしながら)どこにも行けやせんわな」
「だからあなたはお帰りなさいましとい....
「星座」より 著者:有島武郎
惑に誘惑されていたのだ。この瞬間にも彼にはそうした衝動が来た。渡瀬は笑いからすぐ
渋い顔になった。
「あら変ね、何がそんなにおかしいこと」
といいながら、銚子《....
「朱日記」より 著者:泉鏡花
意はしまするが、差当り、火の用心と申すではござりませぬ。……やがて、」 と例の
渋い顔で、横手の柱に掛ったボンボン時計を睨むようにじろり。ト十一時……ちょうど半....
「木の子説法」より 著者:泉鏡花
濡れました。甘い涙。――いささか気障ですが、うれしい悲しいを通り越した、辛い涙、
渋い涙、鉛の涙、男女の思迫った、そんな味は覚えがない、ひもじい時の、芋の涙、豆の....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
、さながら大雷大風であった。 四十一 と、突立ったまま、苦い顔、
渋い顔、切ない顔、甘い顔、酔って呆けた青い顔をしていた。が、頬へたらたらと垂れか....
「わが妻の記」より 著者:伊丹万作
ばかりだ。もちろんどれも十年も前に買つたものばかりであるが、いま取り出してもまだ
渋いようなものが多い。帯は二本か三本しかない。そのうちの一本は私が描いてやつたも....
「作画について」より 著者:上村松園
ちゃんと結ばせて構図をとったのであります。 最初は上品な丸髷に結った新夫人を、
渋い好みの人にして描くつもりで、丸髷にして写生をはじめたのでしたが、舞の二段おろ....
「三人の師」より 著者:上村松園
旭日のように君臨していられたのである。 同じ四条派の系統でも、松年先生の画風は
渋い四条派で筆力雄渾だったが、楳嶺先生の画風は派手な四条派で、筆も柔かいものをお....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
てうららかで、自然界はゆたかな金色の衣をつけ、豊穣な実りを思わせるのだった。森は
渋い茶色と黄色につつまれ、優美な木々は霜にうたれて、ちらほらと輝かしいオレンジ色....
「画筆に生きる五十年」より 著者:上村松園
。途中で、中年の令夫人にしようかとも思いましたので、早速嫁に丸髷を結ってもらい、
渋い着物を着て、立ってもらったこともございました。私の謡の先生の娘さんがよく仕舞....
「京のその頃」より 著者:上村松園
うまく、緩急をつけて、なかなかちょっと誰にでもはやれない地唄の中の許し物を嗄れた
渋い声で唄って来る。 アッ来やはった、と思うと、私は絵の稽古をやめて表の格子の....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
ぐに石油を買う体裁、なけなしの内金で、その夜は珍らしく肴を見せた、というのが、苦
渋いなまり節、一欠片。大根おろしも薄黒い。 が、「今に見たまえ、明日にも大船で....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
走して、お茶を入れて二人で食べていた。――処へ、装束を袴に直して、扇子を片手に、
渋い顔をして入って来た、六十七の老人である。「うまく遣ってるな、坊主、能はどうだ....
「想い出」より 著者:上村松園
。市村先生の『左伝』の御講義の日など、非常に楽しみでございました。 松年先生の
渋い、筆力雄渾の画風から、楳嶺先生の柔らかい派手な濃麗華麗な画風に移りまして、そ....