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「渋面〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

渋面の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
い。人間の密輸入はまだ一度ぎりだ。」 田宮は一盃ぐいとやりながら、わざとらしい渋面《じゅうめん》をつくって見せた。 「だがお蓮の今日《こんにち》あるを得たのは....
桃太郎」より 著者:芥川竜之介
恩《だいおん》さえ忘れるとは怪《け》しからぬ奴等でございます。」 犬も桃太郎の渋面《じゅうめん》を見ると、口惜《くや》しそうにいつも唸《うな》ったものである。....
侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
残らず競技場の土にまみれている。見給え、世界の名選手さへ大抵は得意の微笑のかげに渋面を隠しているではないか? 人生は狂人の主催に成ったオリムピック大会に似たも....
外科室」より 著者:泉鏡花
しけん、ひとたびその平生を失《しっ》せしが、いまやまた自若となりたり。 侯爵は渋面造りて、 「貴船、こりゃなんでも姫《ひい》を連れて来て、見せることじゃの、な....
省線電車の射撃手」より 著者:海野十三
一人、馳けてきた。 「課長どの、総監閣下のお電話です」 「ナニ総監の……」警部は渋面を作った。 「お気の毒ですなア」と戸浪が彼の背中をポンと叩いた。 総監は果....
空中漂流一週間」より 著者:海野十三
巻煙草をぽんと灰皿の中になげこむと、当惑顔で名刺の表をみつめた。前には当番兵が、渋面をつくって、起立している。 ここは帝都に近い××防衛飛行隊本部の将校集会所....
みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
や見えぬ。四辺に誰も居ないのを、一息の下に見渡して、我を笑うと心着いた時、咄嗟に渋面を造って、身を捻じるように振向くと…… この三角畑の裾の樹立から、広野の中....
縷紅新草」より 著者:泉鏡花
申訳と、渠等を納得させる手段は、酒と餅で、そんなに煩わしい事はない。手で招いても渋面の皺は伸びよう。また厨裡で心太を突くような跳梁権を獲得していた、檀越夫人の嫡....
照葉狂言」より 著者:泉鏡花
め!」 と言うより早く拳をあげて、その胸のあたりをハタと撲ちぬ。背後に蹌踉けて渋面せしが、たちまち笑顔になりて、 「許させられい、許させられい。」 と身を返....
黒百合」より 著者:泉鏡花
の名馬夕立に対して恐入らざるを得ないので、 「おや、千破矢様、どうして貴方、」と渋面を造って頭を下げる。その時、駿足に流汗を被りながら、呼吸はあえて荒からぬ夕立....
星女郎」より 著者:泉鏡花
で見送りましたが、何が、貴辺、」 「え、その男は?」 八 先達は渋面して、 「まず生命に別条のないばかり、――日が暮れましたで、私御本堂へだけ燈....
ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
でやろうかしら、なんと思って上から顔を視ると、睡っていたんじゃないんです。円くて渋面の親仁様が、団栗目をぎろぎろと遣って、(狐か――俺は天狗だぞ、可恐いぞ。)と....
三十年前の島田沼南」より 著者:内田魯庵
はテンから問題としなかった。 「女が悪いんだ。女の方から持掛けたんだ、」とU氏は渋面を作って苦々しい微笑を唇辺に寄せつつ、「あの女は先天的に堕落の要素を持ってる....
二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
学的才能を危ぶみ出してからは唯一の生活手段とするつもりの文学に全く絶望して、父の渋面、母の愚痴、人生問題の紛糾疑惑、心の隅の何処かに尚だ残ってる政治的野心の余燼....
活人形」より 著者:泉鏡花
彼方へ連れ行き介抱せんと、誘い行きしを聞澄まし、縁の下よりぬっと出で蚊を払いつつ渋面つくり、下枝ならむには一大事、とくと見届けてせむ様あり、と裏手の方の墓原へ潜....