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「渓水〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

渓水の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
上高地風景保護論」より 著者:小島烏水
て、屍体《したい》が方々に転がっているかも知れない。 そうして、山骨は露出し、渓水は氾濫し、焼くが如き炎日は直射し、日本アルプス第一の美麗なる峡谷は、荒廃し、....
永日小品」より 著者:夏目漱石
射して来る真中を、黒い筋が横に蜿《うね》って動いている。泥炭《でいたん》を含んだ渓水《たにみず》は、染粉《そめこ》を溶《と》いたように古びた色になる。この山奥に....
白峰山脈縦断記」より 著者:小島烏水
蝙蝠岳は、西の空に聳えて、朝起きの頭へ、ずしりと重石を圧えつける。 小舎の前の渓水に嗽ぐ。水は、南へと流れる。当面の小山を隔てて、向は、西俣の谷になる。私たち....
谷より峰へ峰より谷へ」より 著者:小島烏水
の若葉がくれに、前穂高の厳かつい岩壁を仰いで、沢を登ると、残雪に近くなるかして、渓水がちょろちょろ糸のように乱れはじめ、大岩の截っ立てたところから、滝となって落....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
れた足を引きずりながら、息をはずませて気焔を上げていました。 山腹の左の方から渓水《たにみず》が湧き出て滝のように流れています。それが深い谷に落ちて淵《ふち》....
雪代山女魚」より 著者:佐藤垢石
いっている。また、肉充ち脂乗って、味覚に溶け込む風趣を持ってくるのは、初夏から、渓水の涼風肌を慰める土用頃である。これを至味の変と言う。 近年、都会人に渓流魚....
季節の味」より 著者:佐藤垢石
十月へかけて最も漁獲が沢山ある。これを落ち鮎、鯖鮎、芋殻鮎などといって、奥山から渓水と共に流れきたった落葉と共に、簗へ落ち込むのである。産卵のために下流へ向かう....
香魚と水質」より 著者:佐藤垢石
これは骨が何となく舌に触わるのである。 嶺の紅葉を波頭にのせて、奥山から流れる渓水と共に、里近い川へ出てくる秋の山女魚を木の葉山女魚というが、これは殊のほか骨....
木の葉山女魚」より 著者:佐藤垢石
隣の谷まで忍び寄ってきた冬に慄いているさまが想えるのである。 そのころ、澄んだ渓水の中層を落葉に絡まりながら下流へ下流へと落ちていく魚がある。これを木の葉|山....
淡紫裳」より 著者:佐藤垢石
そんな道は愚かである。約一里の道が、ことごとく爪先上りだ。雪橋の下からくぐり出す渓水を汲んで渇を癒し、吐息をつきながら鉄の鎖を握ってよじのぼった。朝鮮烏が五葉松....
利根の尺鮎」より 著者:佐藤垢石
餅をついて長い間、溜め息を吐いていた。 後閑の対岸で、本流へ合するのは、谷川の渓水を集めて下りきたった赤谷川である。赤谷川は、水温が割合に高いために、後閑まで....
寄席行灯」より 著者:正岡容
劇場の有名会へ初登場のみぎり、一夜、同行の先輩柳家三語楼、昇龍斎貞丈、尺八の加藤渓水の諸家と福原某旗亭において慶祝の小宴を催したが、興至るやじつにしばしば畳叩い....
平ヶ岳登攀記」より 著者:高頭仁兵衛
色の水が勢い強く落ちて来る、水を嘗めて見ると少し渋味がある、この沢は降雨の際には渓水がニゴシ(米を洗いたる水)のようになるそうである、燧岳図幅に記してある深沢と....
層雲峡より大雪山へ」より 著者:大町桂月
。松山温泉より旭岳に登るには、人の踏み付けたる跡あるのみにて、道路なく、大部分は渓水の中を歩かざるべからず。天神峠の嶮さえあり。されど、塩谷温泉より登るに比ぶれ....
中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
観照、天象が景色の重要な要素となる、『玉葉』『風雅』の叙景歌の功績、頓阿の歌、牧渓水墨山水に触れた心 十五 宗良親王、『新葉集』 十六 室町時代に歌は芸術である....