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渡し
「渡し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
渡しの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「一夕話」より 著者:芥川竜之介
」
和田は両肘《りょうひじ》をついたまま、ぶっきらぼうにいい放った。彼の顔は見
渡した所、一座の誰よりも日に焼けている。目鼻立ちも甚だ都会じみていない。その上|....
「影」より 著者:芥川竜之介
「今のさ。『影』と云うのだろう。」
女は無言のまま、膝の上のプログラムを私に
渡してくれた。が、それにはどこを探しても、『影』と云う標題は見当らなかった。
「....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
りに頤《あご》をのせて、しばらくはじっとこの子爵自身の「記憶」のような陳列室を見
渡していたが、やがて眼を私の方に転じると、沈んだ声でこう語り出した。
「その友だ....
「神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
いると見える。」
その声が夜空に消えた時、桶の上にのった女は、ちらりと一同を見
渡しながら、意外なほどしとやかに返事をした。
「それはあなたにも立ち勝《まさ》っ....
「河童」より 著者:芥川竜之介
いるのです。僕は花瓶《かびん》の中の冬薔薇《ふゆそうび》の花を抜き、ゲエルの手へ
渡しました。
「しかし火事は消えたといっても、奥さんはさぞお驚きでしょう。さあ、....
「女」より 著者:芥川竜之介
に座を占めながら、さらにもう一天井《ひとてんじょう》、紗《しゃ》のような幕を張り
渡した。幕はまるで円頂閣《ドオム》のような、ただ一つの窓を残して、この獰猛《どう....
「温泉だより」より 著者:芥川竜之介
によれば、半之丞がこう言う死にかたをしたのは苟《いやし》くも「た」の字病院へ売り
渡した以上、解剖《かいぼう》用の体に傷をつけてはすまないと思ったからに違いないそ....
「大川の水」より 著者:芥川竜之介
をくり返していたのである。
ことにこの水の音をなつかしく聞くことのできるのは、
渡し船の中であろう。自分の記憶に誤りがないならば、吾妻橋《あづまばし》から新大橋....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
い、ちょいとこれを打って来てくれないか?」
やっと書き上げた電報を店員の一人に
渡した後《のち》、洋一は書き損じた紙を噛み噛み、店の後《うしろ》にある台所へ抜け....
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
《ほんがんじは》の布教師《ふきょうし》が一人《ひとり》、引導《いんどう》か何かを
渡していた。
こう言う半三郎の復活の評判《ひょうばん》になったのは勿論である。....
「海のほとり」より 著者:芥川竜之介
ば何と言うの?」
僕は足もとの草をむしり、甚平《じんべい》一つになったNさんに
渡した。
「さあ、蓼《たで》じゃなし、――何と言いますかね。Hさんは知っているで....
「墓」より 著者:秋田滋
はやがて法廷の慣用語をつかって、陪審員が被告に無罪の判決を下したことを、彼に云い
渡した。 しかし彼は身うごき一つしなかった。が、傍聴席からはどッと拍手が起った。....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
がすっかり揃ってから、ファラデーは実験室に来る。ちゃんと揃っているか、ちょっと見
渡し、引出しから白いエプロンを出して着る。準備したものを見ながら、手をこする。机....
「親ごころ」より 著者:秋田滋
忘れられない、その悲しみのうちにめッきり老けてしまった。 とうとう家もひと手に
渡してしまい、夫婦は、自分たちの手で息子の行方を尋ねようとして住みなれた村を後に....
「三人の百姓」より 著者:秋田雨雀
怒って、伊作と喧嘩を初めました。そこで伊作は仕方がないので、小判を十枚だけ多助に
渡しました。そして太郎右衛門には五枚だけ
渡して、 「お前に子供がないわで、この子....