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渡す
「渡す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
渡すの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「浅草公園」より 著者:芥川竜之介
おじょうちん》。提灯は次第に上へあがり、雑沓《ざっとう》した仲店《なかみせ》を見
渡すようになる。ただし大提灯の下部だけは消え失せない。門の前に飛びかう無数の鳩《....
「父」より 著者:芥川竜之介
た。「午前六時三十分上野停車場前集合、同五十分発車……」こう云う箇条が、学校から
渡す謄写版《とうしゃばん》の刷物《すりもの》に書いてある。
当日になると自分は....
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
は、早くも亥《い》の上刻《じょうこく》に迫って来た。――
月はまだ上らない。見
渡す限り、重苦しいやみの中に、声もなく眠っている京《きょう》の町は、加茂川の水面....
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
買い価の半ば以上になったことはなかった。のみならず永年持っていた本を古本屋の手に
渡すことは常に彼には悲劇だった。彼は或薄雪の夜、神保町通りの古本屋を一軒一軒|覗....
「不思議な島」より 著者:芥川竜之介
することであろう。僕は老人に話しかけた。
「町のそとへ一足《ひとあし》出ると、見
渡す限りの野菜畑ですね。」
「サッサンラップ島の住民は大部分野菜を作るのです。男....
「神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
たに逆《さから》うものは亡びます。」
「御覧なさい。闇が消え失せるのを。」
「見
渡す限り、あなたの山、あなたの森、あなたの川、あなたの町、あなたの海です。」
「....
「河童」より 著者:芥川竜之介
『阿呆《あほう》の言葉』という本を見たまえ。――」
クラバックは僕に一冊の本を
渡す――というよりも投げつけました。それからまた腕を組んだまま、突《つっ》けんど....
「奇遇」より 著者:芥川竜之介
さめた。眼がさめて見るとさっきの通り、僕は舟の中に眠っている。艙《そう》の外は見
渡す限り、茫々とした月夜《つきよ》の水ばかりだ。その時の寂しさは話した所が、天下....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
細い路を辿《たど》りながら、「とうとう私の念力《ねんりき》が届いた。東京はもう見
渡す限り、人気《ひとけ》のない森に変っている。きっと今に金《きん》さんにも、遇う....
「寒さ」より 著者:芥川竜之介
並松《なみまつ》や、そのまた向うの赤煉瓦《あかれんが》の建物を一目《ひとめ》に見
渡すのも容易だった。海も――海は建物と建物との間《あいだ》に薄暗い波を煙《けむ》....
「青年と死」より 著者:芥川竜之介
うん。
B じゃあその着ると姿の見えなくなるマントルを取ってくれ給え。(Aとって
渡す。Bマントルを着ると姿が消えてしまう。声ばかりがのこる。)さあ、行こう。
A....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
を運ぶと、必死と食いしばった歯の間から、ほとんど呻吟する様な声で、「好《い》いか
渡すぞ。」と相手を呼んだ。
猪首《いくび》の若者は逡巡《しゅんじゅん》した。少....
「忠義」より 著者:芥川竜之介
て来た。見れば、眼も涙ぐんでいる。
「世の嘲《あざけ》りはうける。家督は人の手に
渡す。天道の光さえ、修理にはささぬかと思うような身の上じゃ。その修理が、今生の望....
「海のほとり」より 著者:芥川竜之介
※《うそ》をつけ。――だがもう海水浴もおしまいだな。」
渚《なぎさ》はどこも見
渡す限り、打ち上げられた海草《かいそう》のほかは白《しら》じらと日の光に煙ってい....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
ある物で間に合えば、その品物の名前を書いて、遅くとも前日には助手のアンデルソンに
渡す。これはアンデルソンが急がなくて済むようにとの親切からである。 王立協会内の....