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渡頭
「渡頭〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
渡頭の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「虞美人草」より 著者:夏目漱石
も御乗んなさいと云われれば、乗らずにはいられない。大抵《たいてい》の嘘《うそ》は
渡頭《ととう》の舟である。あるから乗る。 「そう」と糸子は軽く答える。いかなる論....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
のはどうすれば好いのですか」 「そう具体的になると困りますがね」 木藤大尉は鳥
渡頭を撫でるようにしながら、 「つまり何です。彼を憐んで下すって、彼の利益になる....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
」 客は後悔してあやまった。彼は女の家へ付いて行って、その弟子になったという。
渡頭の妖 邵武の渓河の北に怪しい男が棲んでいて、夜になると河ばたに出て来た。そ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
は》ね返して進む自分というものをも、自覚していないはずはありますまい。寝覚の里の
渡頭《ととう》の高燈籠の下まで来て、そこに立ってつくづくと海を眺めたお銀様の眼に....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
一
田山白雲は北上川の
渡頭《わたしば》に立って、渡し舟の出るのを待兼ねている。
舟の出発を待侘《まち....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
と思われます。 そのはずです。日中には名古屋の市街から、宮、熱田を七里の渡しの
渡頭《ととう》まで行って、更に引返して、呼続《よびつぎ》ヶ浜《はま》、裁断橋《さ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
二十六 その翌日、白雲は漫然と結束して宿を立ち出でると、早くも北上川の
渡頭《ととう》の上の小高いところに立って、北上川の北より来《きた》って東南にのぼ....
「雪女」より 著者:田中貢太郎
が降りだして、それが大吹雪になった。二人はしかたなしに仕事を止めて帰って来たが、
渡頭へ来てみると、渡船はもう止まって、船は向う岸へつないであった。 二人はどう....
「半日ある記」より 著者:寺田寅彦
皆々どっと笑う。道傍に並ぶ柱燈|人造麝香の広告なりと聞きてはますます嬉しからず。
渡頭に下り立ちて船に上る。千住よりの小蒸気けたゝましき笛ならして過ぐれば余波|舷....
「小春」より 著者:国木田独歩
藁を積み重ねし間より頭を出して四人の者が余念なく仕事するを余念なくながめいたり。
渡頭を渡りて広き野に出ず。野は麦まきに忙しく女子みな男子と共に働きいたり。山の麓....
「死剣と生縄」より 著者:江見水蔭
られた新利根川。それは立木の台下に横わっているので有った。 程もなく二人は其|
渡頭にと辿り着いた。此辺は誠に寂しい処で有った。台下にはちらりほらり、貧しそうな....
「向嶋」より 著者:永井荷風
ノ侯ニアルヲ。モシソレ薫風南ヨリ来ツテ水波紋ヲ生ジ、新樹空ニ連ツテ風露香ヲ送ル。
渡頭《ととう》人稀ニ白鷺|雙々《そうそう》、舟ヲ掠《かす》メテ飛ビ、楼外花尽キ、....
「夕立」より 著者:永井荷風
に夕立ふることあり。盛夏の一夕《いっせき》われハドソン河上の緑蔭を歩みし時驟雨を
渡頭《ととう》の船に避けしことあり。 漢土《かんど》には白雨を詠じたる詩にして....