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渦巻き
「渦巻き〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
渦巻きの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「恩讐の彼方に」より 著者:菊池寛
小屋の外に出た。それは早春の夜の月が冴えた晩であった。山国川の水は月光の下に蒼く
渦巻きながら流れていた。が、周囲の風物には目もくれず、実之助は、足を忍ばせてひそ....
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
では、もう動かしがたい、心理的な病的な性質が具わってしまった。さて、滝人の心中に
渦巻き狂っているというその疑惑は、そもそも何事であろうか――それを述べるに先立っ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
と、平七はまた呶鳴った。 この捫著《もんちゃく》はお国という若後家を中心として
渦巻き起ったらしい。平七はお国と同い年の二十三歳で、まだ独り者である。藤次郎は二....
「妖術」より 著者:泉鏡花
は心着かぬ。 が、蔵前を通る、あの名代の大煙突から、黒い山のように吹出す煙が、
渦巻きかかって電車に崩るるか、と思うまで凄じく暗くなった。 頸許がふと気になる....
「茶の本」より 著者:岡倉覚三
、剣のごとき鋭い月は、霜のおく草葉に輝いている。冬の曲となれば、雪空に白鳥の群れ
渦巻き、霰はぱらぱらと、嬉々として枝を打つ。 次に伯牙は調べを変えて恋を歌った....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
ようもない狂乱振りだった。が、座間は狂ったのではなかった。彼は、悦びと悲しみの大
渦巻きのなかで、こんなことを絶れ絶れに叫んでいた。 (“Latah”だ。マヌエラ....
「カンカン虫殺人事件」より 著者:大阪圭吉
浮び挙った扉船を小船に曳かして前方の海上へ運び去り、小蒸汽に曳航された入渠船が、
渦巻きの静まり切らぬ船渠内へ引っ張り込まれても、喬介はまだ来ない。渠門に再び扉船....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
津波の余残は太左衛門橋、戒橋、相生橋に溢れかかり、畳屋町、笠屋町、玉屋町を横筋に
渦巻き落ちる。 見よ、見よ、鴉が蔽いかかって、人の目、頭に、嘴を鳴らすを。 ....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
がら、落ちたる煙管の羅宇長きを、力|籠めて掉かざせし、吸残りけむ煙草の煙、小さく
渦巻きて消え失せたり。 「あ痛、あ、あ、痛。」 うつくしき眉を顰めつつ、はたと....
「伯林の落葉」より 著者:岡本かの子
三四日前からはそれが実におびただしい速度と量を増して来た。公園は尚更、黄褐色の大
渦巻きだった。彼は、始め街をしばらく歩いて居た。こまかい菩提樹の葉が粉のように顔....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
い、引き摺るような音響がおこった。 艇が、グラグラと揺れ、潜望鏡には、海面から
渦巻きあがる火竜のような火柱が映った。本艇は、「レオナルド・ダ・ヴィンチ」号の鑑....
「演出者として」より 著者:岸田国士
ゴーリキイ自身のロシア民衆的な本質が、この作品のなかで、分裂し、対立し、衝突し、
渦巻き、乱舞しているすがたが、この上もなく私の興味をひく。 ゴーリキイは、なる....
「競馬」より 著者:犬田卯
く、喊声や、落胆の溜め息や、傍観者の笑いさざめきなどが、ごっちゃになってそこから
渦巻き昇っていた。 彼は人混みを分けて柵に近づいた。煙草入のかますから、前夜隣....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
であった。そしてついに、とにもかくにも、一国の民の指導者となり、ヨーロッパ政争の
渦巻きの、芯軸の一つと成り上がったのだった。静寂な生活こそ、彼の渇仰するものであ....
「宝永噴火」より 著者:岡本かの子
ではない。自分のである。今まで鬱積していた得体の判らぬ心情、それがあの煙となって
渦巻き上っているのだ。むずん! ほっ! 何という太く逞しい自分の悪血の迸りだ。吐....