温み[語句情報] » 温み

「温み〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

温みの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
星座」より 著者:有島武郎
手の向きをかえて机の上からすぐ手紙を拾い上げた。すぐ拾い上げはしたが、自分の膚の温みはあの手紙からは消えているなと園は思った。園はそう思った。園は右手の食指に染....
梓川の上流」より 著者:小島烏水
生物の絶無な時分のこと、暦に乗らぬ時間を存分寝て、ふと眼を啓《ひら》くと、肌の温みに氷河の衣がいつか釈《と》けている、また一瞬間、葛城、金剛、生駒、信貴山など....
青春の逆説」より 著者:織田作之助
力を入れた。女の掌は顔に似合わず、ざらざらしていた。しかし、さすがに若い女らしい温みがあった。咄嗟のうちに、豹一はそれを感じた。女の手に急に力がはいった。それも....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
せて、垢じみた床の中にそのままもぐり込みながら、氷のような布団の冷たさがからだの温みで暖まるまで、まじまじと目を見開いて、君の妹の寝顔を、憐れみとも愛ともつかぬ....
電気風呂の怪死事件」より 著者:海野十三
。夥しい出血は、それがためのものであるらしい。が、その婦人の身体には、未だ幾分か温みが残っていた。肉附のよい、見るからに豊満な全身に亘って、まだ硬直の来していな....
愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
なり。藍色の空に白き煙草の煙吹かせつつわれは小川に沿いて歩みたり。土橋を潜る水は温みて夢ばかりなる水蒸気は白く顫え、岸を蔽えるクローバーは柔らかに足裏の触覚を擽....
風流仏」より 著者:幸田露伴
噛んできり/\と見苦しからず結うて呉れたる計か、おのが頭にさしたる金簪まで引抜き温みを添えて売ってのみ、我身のまわり調度にして玉わりし大事の/\女房に満足させて....
めでたき風景」より 著者:小出楢重
。 その上人種としてのその淡黄と淡紅の交り具合と、その皮膚の細かく滑らかにして温みあることにおいて、私は西洋人の白きつめたさに幾倍するある力を持っていることを....
死者の書」より 著者:折口信夫
まま石のように、老女はじっとして居る。冷えた夜も、朝影を感じる頃になると、幾らか温みがさして来る。 万法蔵院は、村からは遠く、山によって立って居た。暁早い鶏の声....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
何やら物足りない感じに、はっと愕かされたのでございます……。』 問『つまり軽くて温みがなく、手で触ってもカサカサした感じではございませんでしたか……。』 答『全....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
面に射し込んで来て、幾年の風雨に曝らされて朽ちかかった縁板も、やがて人膚ぐらいの温みを帯びるようになる。 その温みを慕って来たものか、綴じ合せた縁板の隙間から....
昨日・今日・明日」より 著者:織田作之助
ょことさまようていたが、やがて耳の千切れるような寒さにたまりかねたのか、わずかの温みを求めて、足は自然に難波駅の地下鉄の構内に向いた。 そして構内に蠢いている....
おせん」より 著者:邦枝完二
が出たようじゃと申上げたが、実は他の方々の手前をかねたまでのこと。心臓も、微かに温みを保っているだけのことじゃ」 「それではもはや」 おむらの、今まで辛抱に辛....
歌麿懺悔」より 著者:邦枝完二
心でござんす」 黙って眼を閉じていた歌麿は、そういってにじり寄ったおきたの手の温みを膝許に感じた。 「いや、折角の志しだが、それには及ばねえ。今更お前さんに擦....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
には炭火がかっかと熾っている。それでも、ひしゃげた鉄瓶が、触れば周りの疣々がまだ温みかけたばかしである。 そこでお盆の上の蓋物のつまみを取って開けて見る。なん....