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温床
「温床〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
温床の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
/\と云うて居る内に、そろ/\畑の用が出て来る。落葉掻き寄せて、甘藷や南瓜胡瓜の
温床の仕度もせねばならぬ。馬鈴薯も植えねばならぬ。
彼岸前の農家の一大事は、奉....
「大阪発見」より 著者:織田作之助
、一層ややこしい。ここはまるで神仏のデパートである。信仰の流行地帯である。迷信の
温床である。たとえば観世音がある。歓喜天がある。弁財天がある。稲荷大明神がある。....
「家なき子」より 著者:楠山正雄
はきっと花を売っていた。 アッケンのお父さんは、においあらせいとうなどを温室や
温床にはいりきらないほどしこんでおいた。これらの花はどれも、ちょうどその当日に早....
「桐生通信」より 著者:坂口安吾
たものはない。 しかしフハイダラクの底をついた現代はかかる大政治家を生み育てる
温床ともなりうる時代なのである。歴史がそう語っている。しかし日本だけはフハイダラ....
「戦後新人論」より 著者:坂口安吾
に野球の主流であった六大学も甲子園大会も都市対抗も、今では、プロ野球の新人発掘の
温床として注目される程度となっている。 しかし保守思想というものは、こういうハ....
「我が人生観」より 著者:坂口安吾
黄土地帯の農民は楽ではない。 シナの歴史は黄河の歴史でもあり、黄河はシナ文化の
温床でもあった。黄河治水に没頭十三年、わが家へ帰るのも忘れたという禹が治水の功に....
「『地球盗難』の作者の言葉」より 著者:海野十三
遠しているのである。それは排撃の理由にならぬ。如何に排撃しようと、科学小説時代の
温床は十分に用意されているのだ。彼等はいまに、自分が時代に遅れたる作家であったこ....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
少時代の私の思想の揺籃であった。そして学芸にからまる私のロマンチックの夢を育てた
温床であった。 この小さな結社にたずさわり、そして愛した経験が私の一生にどれだ....
「二十一」より 著者:坂口安吾
る意識の処理ほど苦しいものはなく、要するに、孤独が何より、いけない。孤独は妄念の
温床だ。誰でもいい、誰かと喋っていればいくらか救われる。そこで僕は二人の友を毎日....
「四月馬鹿」より 著者:織田作之助
たんだよ。この部屋はデマのオンドコだからね。エヘヘ……」 「オンドコ……?」 「
温床だよ」 そう言ってキャッキャッと笑っていた。間もなく私は武田さんの書斎を辞....
「二・二六事件に就て」より 著者:河合栄治郎
は、暗に暴力|讃美の危険なる心理が潜んでいる、そして之こそファッシズムを醸成する
温床である。暴力は一時世を支配しようとも、暴力自体の自壊作用によりて瓦壊する。真....
「物を大切にする心」より 著者:種田山頭火
物を大切にする心はいのちをはぐくみそだてる
温床である。それはおのずから、神と偕《とも》にある世界、仏に融け入る境地へみちび....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
ることのできたのは、宮廷の貴紳の心が挙げて俊成の「詩」に類した詩を培いつつあった
温床であるからにほかならなかった。『千載集』が『古今集』の古えを復活させたという....
「新童話論」より 著者:小川未明
きないのであります。 すべての空想が、その華麗な花と咲くためには、豊饒の現実を
温床としなければならぬごとく、現実に発生しない童話は、すでに生気を失ったものです....
「近頃感じたこと」より 著者:小川未明
批評なく、また与論なきがためです。たゞ、正純にして、多感的なる、人生の少年時代を
温床となせる児童文学は、どの点より見ても、小型大衆小説にあらず、初歩の恋愛読本に....