温湯[語句情報] » 温湯

「温湯〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

温湯の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
さようなら」より 著者:田中英光
非合法運動の友人には、ぼくたちの恥かしい転向の際、剃刀で彼自ら右手首の動脈を切り温湯につけるという、暴力的方法で、「さようなら」された。順序からいえば池田のほう....
親子」より 著者:有島武郎
の口の裏は言っているように彼には感じられた。不快な冷水を浴びた彼は改めて不快な微温湯を見舞われたのだ。それでも彼は能うかぎり小作人たちに対して心置きなく接してい....
白蛇の死」より 著者:海野十三
いていた頃、何処の工場でもそうであるが、夕方になるとボイラーから排出される多量な温湯が庭の隅の風呂桶へ引かれて、そこで職工達の一日の汗を流すことになっている。そ....
恐怖の口笛」より 著者:海野十三
入ると、白いタイルで張りつめた洗い場になっていて、栓をひねると天井からシャーッと温湯が滝のように降ってくるのであった。婦人たちのためには、セロファンで作った透明....
神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
であった。 部屋の片隅に設けられてある、大形の湯槽の栓を抜き、そこから迸り出た温湯で、次々に手を洗った三人は、無造作に犠牲者へ白布を掛けると、何んの変事もなか....
柿の種」より 著者:寺田寅彦
。 こんな平凡な光景でも、時として私の心に張りつめた堅い厚い氷の上に、一|掬の温湯を注ぐような効果があるように思われる。 それほどに一般科学者の生活というも....
山と雪の日記」より 著者:板倉勝宣
いあかりがともっている。 三十一日 今日は大変な天気だ。吾妻登山をするなら微温湯にまで行かねばならぬ。とにかく昼までは暇なので孝ちゃんのお餅をむやみと食った....
竹の木戸」より 著者:国木田独歩
うに痛むので寝たのだと聞いて磯は別に怒りもせず驚きもせず自分で燈を点け、薬罐が微温湯だから火鉢に炭を足し、水も汲みに行った。湯の沸騰るを待つ間は煙草をパクパク吹....
万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
知れない(近時題詞の軍王見山を山の名だとする説がある)。天皇の十一年十二月伊豫の温湯の宮に行幸あったから、そのついでに讃岐安益郡(今の綾歌郡)にも立寄られたので....
水の女」より 著者:折口信夫
くるしく感じだされた。もっと古い水辺の禊ぎを言わねばならなくなった。湯と言えば、温湯を思うようになったのは、「出づるゆ」からである。神聖なことを示す温い常世の水....
「ケット」と「マット」」より 著者:喜田貞吉
ヌ語をも知っておったであろうから、その言うところ信ずべき価値がある。また秀酒企之温湯には、マタギが行き会った婦人に戯れた状を記して、「○○をホロにして云々」の語....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
荷拵えに掛る。まず自分の着物の着方のぞんざいになって居るのを直します。その中に微温湯になったところで直にその湯を飲んでまた乾葡萄の貰ったのを喰いまして、腹が出来....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
時すでに冬季にせまり、寒潮岸を洗い、浴客あとを絶ち、埠頭寂寥たり。茶亭に一休し、温湯に一浴して帰る。海上は茫として、風光の目に入るなし。往復二十五マイルあり。当....
ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
に、 気味の悪い物を煮交ぜたものだ。 大胆に言い寄る男性の「赤獅子」を、 鼎の微温湯で女性の「百合」に逢わせる。 それから二人を武火に掛けて、 閨から閨へ追い廻....
ベートーヴェンの生涯」より 著者:ヴェーゲラーフランツ・ゲルハルト
へっぽこ医者は冷水浴療法を僕にすすめたし、やや気の利いた他の医者はドーナウの例の温湯浴をすすめた。こいつはききめがあって腹の方はずっと良好だが耳はやはりよくない....